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【エッセイ】しめしめ

 しめしめ、と送ったあと、突然言葉の意味がわからなくなってしまった。
 これまでのやり取りを確認する。大丈夫。わたしが思いつく言葉のなかで、最もしっくりくる返答はやっぱり「しめしめ」だった。
 ふと、この言葉の用法を誤ってはいないかと意味を調べる。わかるような、わからないような。わたしにとっては、感嘆の言葉みたいなものだな、と結論づけた。
 「し」と「め」を2回ずつ使う。それだけだから省エネな感じがするが、その奥に垣間見える感情はなかなか奥深い。企みや、安堵をも含んでいるようだ。
 古くさい言い回しだ。もしかしたら死語なのかもしれない。マンガなんかでも、最近は聞かなくなった言葉だ。
 改めていろいろ考えてみて思うに、わたしはこの言葉が好きらしい。
 しめしめ、とひとりでつぶやいてみる。
 悪くない。そのことにまた、しめしめと心のなかで納得する。

 ねこが最近、寝床を定めたようだ。
 もう、探さなくてもだいたいそこにいるってこと?
 そういうこと。
 しめしめ。

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