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『月の立つ林で』を読んでみた

こんばんは!記事へのアクセスありがとうございます!

2023年の本屋大賞ノミネート作品をすべて読もうとしており、今回は7作目に読んだ『月の立つ林で』(青山美智子著)について感想を書いていきます!

青山美智子さんの本は過去に2作品(『お探し物は図書館まで』『赤と青とエスキース』)読んだことがあり、今回で3作品目でした。
今回読んだ『月の立つ林で』は、他の2作品と同様、絵画を思い浮かべたくなるような芸術性を感じる小説でした。

小説は、5つの短編の物語から成り立っているのですが、5つの物語で出てくる登場人物が何らかの形でつながりを持っていました。

物語のいろいろな場面で、自分の脳内で美しい絵を想像してしまうような、想像力を掻き立てられる、色鮮やかな物語だったなと思いました。


読んだ後の感想

この小説は、“波乱万丈な出来事”とか“あっと驚く展開”といった要素は含まれておらず、日常の些細な出来事の中から主人公が感じることについて、とても深く美しく描写されているものでした。

ストーリーももちろん心が温まるものなのですが、それよりも、登場人物の心の移ろいや、それぞれの人間関係の絶妙な距離感の変化を味わいながら読むのがいいなと思いました。

そういった“人の心の移ろい”を月に例えて描かれているのが独特で、夜が好きになりました(笑)

上にも書いた通り、5つの物語で出てくる登場人物が何らかの形でつながりを持っているのですが、登場人物同士は、“太い絆”とか“深い愛情”とかでつながっているというよりかは、お互いどこかで少しだけ面識があって、さりげなく、時に無意識に支えあっているような関係でした。

そのさりげない心の支えが、月の光のような穏やかで温かい光を連想させるものでした。

悩むことや立ち止まって考えることってよくあるのですが、この小説を読み終えたとき、今の自分にとって心地の良い距離感や力加減で生きてみようと思えました。

どんな人におすすめ?

自然が好きな人、たとえ話が好きな人、心温まる穏やかな小説を求めている人におすすめです!

落ち込んだとき、人生が少し停滞していると感じたとき、家族の人間関係で悩んでいるときに、無理のない範囲で少しだけ前向きに生きてみようと思える小説です。

ドキドキする物語を何冊か連続で読んだ後に読むと、少し心が休まると思います。体の緊張感もほぐれる気もします。

月を題材とした物語なので、寝る前の読書時間に読むと睡眠の質もしっかり上がりそうです!!

おわりに

過去に読んだ青山美智子さんの小説は、3作品とも読後の自分に前向きになれるエネルギーをくれました。

奇抜な物語ではなく、どちらかといえば素朴な物語でありつつも、しっかりと心の余韻を感じられるのは、人間の心の奥深くの様子を丁寧に描写しているからだと思います。

自分の心の内を見つめなおすきっかけにするのがいいと思える小説でした!

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