見出し画像

隣に座るだけで子どもの集中力が格段にアップ! その理由とは

 学習塾を主宰し、不登校児や学習障害児、非行少年などを積極的に引き受けて、生徒全員の成績をアップさせた経験を持ち、その後もボランティアで育児相談や子どもの学習指導、親や教育関係者らと活発に意見交換をするなど、科学の視点で子育てにかかわる活動を続けている、異色の科学者・篠原信先生が著書『子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法』(朝日新聞出版)の中で明かした、子どもの集中力が自然とアップする方法を、ここで紹介します。

 遊んでばかりだった男の子が、お父さんから次のように言い渡されました。

「中学生になったら、お父さんの隣に座って勉強しなさい」

 その子は渋々、夜9時になるとお父さんの隣に座るようになり、1年たたずに、学年でトップになりました。

 実は、私自身も中学3年生のときに、父親に同じことを言われました。しかし、それまで勉強机に座ったことなどなかった私は集中できません。机に突っ伏したり椅子の背もたれにのけぞったり、女の子のことを思い浮かべたり、落書きを始めたり。

 ふと隣を見ると、父は背筋を伸ばし、静かに本を読んで身じろぎもしません。

 最初のうちは「ちぇっ」と思っていましたが、だんだん集中できない自分が格好悪く思えてきて、「どうせ逃げられないのなら仕方ない、宿題やるか」と思うようになりました。そのためか、少しずつ成績が伸びて、少しずつ楽しくなってきました。

 夜9時になったら自分から勉強部屋(家族全員、そこが勉強部屋だった)に行き、自主的に学習するようになった私を見て、父は一緒に勉強しなくなりました。

 父は、隣の部屋で「男はつらいよ」の映画を見てゲラゲラ笑っていましたが、私は、成績が上がってきたのがおもしろくなり、自分から勉強部屋に向かうようになっていました。

 勉強する子になってほしいと願うなら、勉強する時間を一緒に過ごしてみてください。そして、親自身が身じろぎもせずに集中する姿を見せると、思春期の子は、なんで親はスッと集中できるんだろう? と内心親に感心します(表面上は反発しますが)。

 反抗期で親に負けたくないという気持ちがある分、集中できない自分が恥ずかしくなり、次第に集中する方法を探そうとします。

 一緒にいるとなぜ子どもが学ぶようになるのでしょうか。

「自分と同じ時間、同じ空間を過ごしてくれる」のがうれしいようです。

 思春期は親に反発するものですが、特に干渉もなく、隣で同じ方向を向いて本や教科書を読んだりしていると「同志」感が生まれます。

 それは、まるでキャンプファイヤーを囲んだときの空気感があり、それが子ども心に気持ち良く感じられるようです。気分が良いから集中しやすくもなります。

「隣で勉強しなさい」とは言っても、教える必要はありません。ただ、自分が黙って集中して学習する姿を隣で見せるだけで結構です。すると、子どもは集中するにはどうしたらよいか、工夫し始めます。

 最初のうちは教科書の間に漫画を挟んで読んだり、落書きしたり、余計なことばかりしますが、それを注意する必要はありません。自分が集中していたら、子どもが勝手に恥ずかしくなり、次第に集中する方法を模索し始めます。

 もし「こら! 集中しないか!」と注意したら、子どものペースに巻き込まれます。

「やった! これをきっかけに『勉強なんかやってられるか!』とケンカに持ち込もう!」という策略に乗ることになるからです。

 しかしわき目も振らず集中されると、取り付く島がありません。

 トイレに行って戻らないという手段を取っても、「部屋の外に逃げた自分」を直視せざるを得ず、「親は集中しているのに、俺は何をやっているんだろう?」となります。

 だから、勉強する子になってほしいなら、親が同じ空間、同じ時間で学習するのが一番。

 口出しは一切無用。

 すると自然に勉強するようになります。

 勉強に付き合おうとすると親は大変かもしれませんが、しかし机を並べている時間は読書でも洗濯物をたたんでも、編み物でもかまいません。何かに集中する時間を子どもと一緒に過ごしてみてください。その時間が、子どもの精神状態を安定にし、集中力を増します。

 もし親が勉強に付き合うのが難しい場合は、親戚やご近所のお兄ちゃんお姉ちゃんでも構いませんが、できれば同性のほうが望ましいです(思春期はいろいろありますから)。

 別に家庭教師のように教えなくても結構。

「うちの子どもと一緒に、隣で集中して勉強してくれないか」と頼んでみてください。この方法を続けているうちに、教えなくても、子どもは集中して学ぶようになります。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!