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#メンタルヘルス

あなたの職場の疲労度は「何段階」? ヤバい職場から身を守る方法を自衛隊メンタル教官に聞く

■笑いが減る、言った言わない、不公平感に過敏など、疲労した組織の特徴とは  まず、あなたが今いる職場について、次の項目はどのくらい当てはまるでしょうか。  これは私が「2段階職場」と名付けた、組織力を失った職場の特徴を挙げたものです。  当てはまる項目が多いほど、組織の力を失っていると考えてください。 「2段階」とは疲労のレベルのことを示しています。  疲労には1段階、2段階、3段階とあるのですが、個人レベルでは次のように考えます。 ・疲労の1段階  何かストレス

すぐに怒る=ダメ親ではない 「親子バトル」が「親子パワハラ」にならないためのコツを自衛隊メンタル教官に聞いた

■親子バトルは健全なこと、怒ってしまうからダメな親ではない  勉強やスポーツ、進路、生き方。食事、寝る時間、歯磨きなどの生活習慣にいたるまで、子どもが思い通りに動かないとき、親はひそかに「怒り」を抱えてしまいます。  自分の「イライラ」や「怒り」が抑えられなくて、子どもをガミガミ怒鳴ってしまう。その挙句に子どもが反発しようものなら、売り言葉に買い言葉、親子バトルに発展してしまった……。心当たりがある人は、とても多いのではないでしょうか。  親子とは、多かれ少なかれ、バト

もし今パワハラ被害にあっているなら「やってはいけないこと」と「直ちにやるべきこと」とは? 自衛隊メンタル教官に聞く

■半沢直樹のように、相手を完膚なきまでに論破し、土下座させたいけれど…  私は日ごろから、上司などからパワハラを受けて苦しんでいる方のカウンセリングも行っています。  苦しい思いをしたパワハラ被害者は、恐怖とともに、強い怒りを感じています。そして、その怒りのままに「相手をやっつけたい」という強い衝動も秘めています。  さすがに暴力はダメだとわかっているけれど、ドラマ半沢直樹のように、相手を完膚なきまでに論破し、土下座でもさせたい。  しかし、本当にそれをやってしまった

中高年になると増える親へのイライラや恨み…原因は「疲労」? 正しいケアの方法を自衛隊メンタル教官に聞く

■中高年特有の「疲労」が与える影響 「親に対してのイライラが止められない」「私の親は毒親だったんです」と、カウンセリングの場で訴えるクライアントさんは珍しくありません。  というより、かなり多いという印象です。  若いころはそれほど気にしていなかったのに、中高年になってから、自分の親に対する「恨み」に気づいて、それがどんどん湧き出してきて止められなくなってしまう。こうした方々は、いら立つ自分、根に持ってしまう自分のこともひそかに責めているので、一層つらさを抱えていらっし

「なぜかイライラする…」その原因、現代人を“スーツを着た原始人”と捉えればわかります【自衛隊メンタル教官が教える イライラ・怒りをとる技術】

■現代人を「スーツを着た原始人」と考えてみると  最近、何だか理由はわからないけど、イライラするなあ、と思うことはないでしょうか。毎日、何かしらイライラとして、心穏やかに過ごせない。そんな自分自身や生活に嫌気が差した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。 「イライラ」とは小さな怒りです。怒りは、自分の土地・食料・所有物、愛、自由、立場、居場所、価値観などが侵されないように警戒する感情です。こうした領域に不法侵入の気配があるとき、「イライラ」が発動します。  私は人間を

自殺に至ることも…「荷下ろしうつ」とは? 元自衛隊メンタル教官に聞く

 65歳から90歳までの25年は、社会人となってから50代になるまでの月日と、ちょうど同じぐらいの長さ。定年後に過ごしていく老年期は「自らの老いを受け容れながら、生き方を選んでいく期間。まさに、人生の退却作戦です」と話すのは、元自衛隊メンタル教官で『50代から心を整える技術』の著者でもある下園壮太さんだ。  作戦の際には、「最悪のケースを想定」し、「今できることを考える」という2本立てのプロセスが有効だという。定年というターニングポイントも、楽観は許されない退却作戦だ。実は

元自衛隊メンタル教官に聞く!定年後「うつ」を避けるために50代の今、すべきこと

 定年が射程距離内に入ってくる一方で、体力やストレス耐性の低下を実感しはじめる50代。「定年後にがっくりと気力をなくしてしまい、うつ状態になる人がいる」と聞くと、「他人事ではないな」と危機感を抱くかもしれない。 「定年を迎えたときと、うつ状態からのリハビリ期は、共通している部分がとても多いのです」と、元自衛隊メンタル教官で『50代から心を整える技術』の著者でもある下園壮太さんは言う。  両者に共通しているのは、「目標の立て直し」が必要となること。「これまでのやり方では通用

自衛隊の定年は55歳でうつ状態になる人も…知られざる第二の人生を自衛隊メンタル教官に聞く

 定年まであと何年ですか?  タイミングは人それぞれだが、日々の忙しさに埋もれていると、あっと言う間にやってきそうだ。 「老後資金など、お金の準備について思いを巡らせる人は多いのですが、多くの人は、新たな環境に向けて自らの価値観をゆるめたり、生涯楽しめそうな“好きなこと”を見つける、といった心の準備をし忘れたままで、定年生活に突入します。その結果、がらりと変わる環境や人間関係に適応できず、悩みを深めるケースが多いのです」と、元自衛隊メンタル教官で『50代から心を整える技術

元自衛隊メンタル教官が教える 職場が「人間関係の戦場」となってしまう3つの理由

■職場が「人間関係の戦場」となってしまう3つの理由  誰もが人間関係が良好で、居心地のよい職場を求めていることでしょう。でも、それはあくまでも理想。私が考えるに、組織とは「役割の戦場」、職場の本当のところは「人間関係の戦場」です。  その理由を、3つの視点からお話しします。  1つ目が、「エネルギー」の視点。  職場では、組織の目的を達成するために、それぞれのメンバーが活動します。活動をするとは、「エネルギーを使う」ということ。  原始的な観点に立って考えると、人に

元自衛隊メンタル教官が教える 夫婦げんかにスッと効く「ありがとう瞑想」の魔法

 一説によると、恋愛の賞味期限は3年。恋愛という感情は、DNAを残すのが目的で、1人の人を愛して、子どもを作り、ある程度まで育ってくれたら、その目的は達成されるから、だそうだ。  だから、どんなに熱い思いで結ばれた夫婦も、情熱が冷め、そのあとは人間同士のつき合いとなる。洗濯物の干し方から食べ方、子育て方針、人生観まで、違いが目立ってきて、「ムカつく」「許せない」ことは増えてきてしまう。 「人間関係の悩みで一番多いのが、実は“配偶者”です。結婚は異文化との遭遇、夫婦とはどう

元自衛隊メンタル教官がうつ経験で学んだ“ドタキャンする勇気”

 メンタル不調、適応障害、うつ病。  そう聞いて、「自分だけは大丈夫。そうはならない」と思う人は多い。と、同時に「自分も危ないかも……」と思う人も、また、今まさに苦しんでいる人もいるでしょう。 「うつ病になりやすい人はいるのか? という質問をよく受けますが、はっきり言って、現代の日本で働いている人ならば、うつ病は“だれにでも起こりうる”と考えてください」と、元自衛隊メンタル教官で、『人間関係の疲れをとる技術』の著者でもある下園壮太さんは断言します。  下園さんは、34年

元自衛隊メンタル教官が明かす 人間関係で悩んだ人がやりがちな“マズい行動”

「私たちは、人類史上、最も“人間関係”の悩みが多い時代を生きているのではないか、と感じています」と話すのは、元自衛隊メンタル教官で、現在はカウンセラーとしてさまざまなクライアントを支援している下園壮太さん。  たしかに、人間関係の苦しさから逃れられず、悩んでいる人はとても多い。原始時代に比べたら、基本的に衣食住に困らず、とても生きやすい環境にあるにもかかわらず、だ。  なぜ、現代人の私たちは、人間関係に苦しむのだろうか。著書『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』(

キレたくないのにキレてしまう…それなら「ゲシュタルト療法」を試してみませんか?

 本書でマンガ・イラストを担当した田房永子さんも、過去に突然キレてしまうことに悩んでいた一人です。田房さんがキレる自分をやめられるようになったいきさつと、やめられるきっかけとなったゲシュタルト療法とはどんな心理療法なのかを、同書より紹介します。 ■自分を縛る呪いを解くゲシュタルト療法  ゲシュタルト療法はカウンセリングの一種ですが、「カウンセリング」という言葉はあまり使いません。代わりに「ワーク」という言葉を使います。また、カウンセラーのこともファシリテーターとかセラピス

「感情がなければ人間関係はもっと楽なのに!」と思ったなら試してほしい“自分を守るツール”

 辛い思いをした時、“感情”さえなければ、もう少しラクに生きられるのに……と考えたことはないだろうか。人間関係の悩みは、感情があるからこそ苦しくなるものだ。 「対人トラブルに悩んでいるなら、現実的に解決を図るより、感情への対処が重要です。自分の中で感情がケアできれば、苦しさはぐっと減らせます」と話すのは、元自衛隊のメンタル教官で、『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』(朝日新書)の著者である下園壮太さん。“自分の感情のケアをする”とは具体的にどういうことか。下園さ