内田也哉子さんが「人生46年目にして私の前に現れたのは、紛れもない奇跡だ」と絶賛する書籍とは
■言葉と沈黙のあわいに 内田也哉子
決して大げさなんかじゃなく、私に日本語の美しさを教えてくれたのは、谷川俊太郎さんだ。幼い頃、おもちゃの存在しなかった我が家には、キッズフレンドリーなものといえば唯一、絵本が数冊あっただけ。おのずと、すりへるほど読み込まれたその絵本の翻訳者が谷川さんで、原作者は、平凡な日常の滑稽さや、人間の孤独をテーマにした不条理劇を代表するウージェーヌ・イヨネスコだった。不気味な明るさと不穏な空気を合わせもつ家族を描いた『ジョゼット かべをあけてみみで