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北風の匂い、雪の匂い【毎日note】#90

私の故郷・北海道旭川市にはキャッチフレーズロゴなるものがあって、それは、『あ、雪の匂い』。

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朝ベランダに立って、明るみ始めた空を見ながら空気を吸い込む。乾いた冷たい、だけど朝の湿り気をほんの少し含んだ空気は、冬の匂いがする。「冬の匂い」という言葉が浮かんだ後、いつもこの地元のキャッチフレーズ「あ、雪の匂い」を思い出す。

そもそも雪に匂いがあるのか論争みたいなものもあって、無臭だという人もいるけど、雪の積もる地域で、雪を口に入れてみたことがない人がいるだろうか。口に入れたとき、鼻に抜ける匂いというものが必ずある。それはもしかしたら、排気ガスの臭いなのかもしれないけれど。

私が思うに、雪の匂いとは、雪に吸着した物質の臭いでもあるけれど、雪が積もった時のしんとした空気も含んでいるんじゃないかと思う。

雪は音も吸い込むという。だからいつもよりも静かに感じる。そして寒さではりつめた朝の澄みきった空気。-15℃をきるともう耳も鼻も痛い。だけど晴れていれば恐ろしくすがすがしい。あんなにすがすがしい空気を私は知らない。

沖縄のマンションの4階でベランダに出て冬の空気を吸い込む時、さすがに雪の匂いを感じるわけではない。けれど沖縄まではるばるやってくる北風は、常夏のように思われる沖縄の暑さや湿気を確実に吹き飛ばし、10℃も15℃も気温を下げ、冬を連れてくる。「冬の匂い」はしっかりと香った。




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