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ちいさな幸せと平和
駅ビルにあるフリースペース。椅子がポン、ポンっと置いてあり、空いていれば誰でも好きに過ごせる。座ってみると、買い物中のさまざまな人たちが行き交う様子を、なんとはなしに眺めることができる。
その子の声は姿が視界に入ってくる前から聞こえてきた。おぉ、おぉ、っと誰かに何かを伝えたいような、そんな声だ。やがて僕の“スクリーン”にその子が登場した。2歳くらいだろうか、僕の前をトコトコと男の子が歩いている。
彼はステーキレストランの入り口付近にある大きなメニュー写真の前に立ち止まり何かを指さしながら「おおちぃ」と言う。まるでそれが信じられない!とでも言いたげな口調だ。後からゆっくりと歩いてきた母親らしき女性は傍らに立ち止まり、「大きいね」と応える。
そして、また彼は歩き出し女性が続く。次は隣の寿司店の、やはり入り口付近にあるメニュー写真を彼が指さしまた何か声を発している。女性は「うん、そうだね」と言いながら彼と一緒にゆっくりと歩く。
僕は、こういうシーンに遭遇すると幸せというものを感じずにはいられない。
僕自身は経験はないがいろいろな人の話によると子育てにはなかなか過酷な面もあるそうだ。でも、そんな中にも垣間見える、日常のほんの小さい出来事の中に、あぁ、この世界に生まれてきてここまで生きてきて良かったな…と感じさせてくれるものがある。そして、すべての人に感謝したくなる。
そして、平和とはこういう瞬間の積み重ねなのではないかと思うのです。
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