それはいつの間にか咲いていた花のように、知らない間に降り出していた雨のように、唐突といえば唐突で、でもびっくりするほどいきなりでもない、そんな間合いで始まった…
浅葉なつ
2020年3月19日 01:30
それはいつの間にか咲いていた花のように、知らない間に降り出していた雨のように、唐突といえば唐突で、でもびっくりするほどいきなりでもない、そんな間合いで始まった話だった。「いたんだよね、亀が」 不意にそんなことを言い出したまっちゃんに、愛用しているヒッコリーのドラムスティックを片付けていた私は、んああ? と変な声で訊き返した。「だからいたの、亀が。衣装ケースの中に」「まっちゃんの家の?」