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間違っているのはあなたなのです

Aという映画をみた。平成のはじめ頃に地下鉄で毒物を撒いたあの宗教団体を追ったドキュメンタリーだ。

撮り方を変えれば、ものごとはずいぶんと違ってみえるものだ。

「バカ集団に人権などない。皆、死刑にしてしまえ」

「私たちに迷惑をかけたんだから、謝りなさい」

先日みた福田村事件の村人たちと姿が重なりゾッとした。警察の理不尽な対応もまた同じだった。

「あなたは怪しい人物だから名前を名乗りなさい。あなたがなにか事件を起こしたら困るんだ」

詰め寄り信者を押し倒しておきながら公務執行妨害で逮捕する。映像を見る限りではあきらかなでっち上げだ。事実、そのビデオ映像により無罪釈放となる。

それをニヤニヤと眺める傍観者。実に気持ち悪い。

「この街から出ていきなさい」

決起集会を開く住民。自分たちの主張を看板にしポスターにする。大声で喚き散らし、信者に詰め寄る。その目がこわいのだ。まともな人間の目ではない。

「朝鮮人は殺してしまえ」

そう詰め寄った福田村の村人の目とそっくりだ。

「あなたは頭がいいんだから、普通に会社員として努めて社会の役に立ちなさい」

その社会に見切りをつけて見つけ出した自分が理想とする世界。悪いのは事件を起こした教祖であり、その集団なのだ。信仰心を否定する権利など他人にはない。

「あなたのためを思っていっているんだから」

正義という刀で切り裂く。救いようがない正義。集団のこわさを改めて思い知った。


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