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ダ・ヴィンチコードを乗り越えて [第二章]

割引あり

聖なるもの

 時間のDecodeへ移る前に、あなたの「聖」の概念を破壊しておきましょう。きっとあなたは「最後の晩餐」のような聖なるイコンに、ピラミッドや時間というものが隠されていると言われても受け入れ難い事でしょう。しかしそれは、本当の聖(ひじり)を知らぬから聖なるものの本当の意味を知らぬから。

 あなたの「聖(ひじり)」のイメージはどのようなものですか?光輝く魔法のようなもの?それとも神そのもの?はたまた数々の奇跡を行った品行方正な奇跡人a.k.a聖人でしょうか?はっきり申し上げますがどれも意味を履き違えております。我々の住むこの国は古き小説『1984』の如き世界であり、色々と加筆・隠匿または削除されていることを忘れてはなりません。

 例えば、「Love」の日本語訳は「御大切ですが、現実では十二因縁の「渇愛」を示す「」が用いられています。大切な人に「渇愛してる」と言い放つ世界です。

 同様に「聖」という字の本来の意味も分からないため、何が聖なるものなのかも分かりません。では「聖」の本当の意味を見てみましょう。



聖(ひじり)

 「聖」という字の本質は訓読みにあります。聖の訓読み「ひじり」は、正確には「日知り」と書きます。なぜなら、日(太陽)の動きを知る人を ”日知り人" と呼び、 "聖人(ひじりびと / せいじん)” となったから。つまり、日知りの知識が「聖(ひじり)」であり、日知りの知識を行使する人が「聖人(ひじりびとなのです日本語だけではありませんよ?アッシジのフランチェスコの名 St.Francesco がつけられたアメリカの土地の表記は San Francisco ですから。(St = San)

 偶然だと思います?以下に一例を列挙します。

  1. San Francisco - カリフォルニア州

    • 聖人の名前: 聖フランシスコ (St. Francis of Assisi)

  2. San Diego - カリフォルニア州

    • 聖人の名前: 聖ディエゴ (St. James the Greater)

  3. San Jose - カリフォルニア州

    • 聖人の名前: 聖ヨセフ (St. Joseph)

  4. San Antonio - テキサス州

    • 聖人の名前: 聖アントニウス (St. Anthony of Padua)

  5. San Juan Capistrano - カリフォルニア州

    • 聖人の名前: 聖ジュアン・カピストラーノ (St. John of Capistrano)

  6. San Rafael - カリフォルニア州

    • 聖人の名前: 聖ラファエル (St. Raphael)

  7. San Angelo - テキサス州

    • 聖人の名前: 聖エンジェロ (St. Michael the Archangel)

  8. San Juan - プエルトリコ

    • 聖人の名前: 聖ヨハネ (St. John the Baptist)

 これでも偶然が頭をよぎりますか? 


 こうは考えられませんか?聖人が海を割ったのではなくて、日知り人ゆえに潮の満ち引きを知っていたと。聖人が湖の上を歩いたのではなくて、日知り人ゆえに湖の一部に薄氷が張る時期を知っていたと。”聖(ひじり)の奇跡”ではなく”日知りの知識”がもたらした奇跡のような自然現象だと。

 ではなぜ我々の”聖 / 日知り”の概念が曲がっているのでしょう?このことについて現代の”日知り人たち”から最も邪悪な男と呼ばれたAleister Crowleyの言葉を引用します。

 聖職者たちの策謀により、太陽は夕方になると滅され、翌朝また掲げなおさねばならないと考えられていた。

Aleister Crowley

 もう少し詳細に申し上げますと、暦を知らぬ民は一年という周期を知りません。そんな民に二至二分を知っている”日知り人”はこう言います。

「神のお告げがあった。種を撒きなさい」
「神がお怒りになった。嵐がきます」
「神が褒美をくださった。作物を収穫しなさい」

 地球の周期を知ぬ民には「日知り人のお告げが当たった」となります。いつの時代の権力者も、こうして智慧の差を使い支配統治を行いました。”日知り”に関わる知識は支配・統治に関わる政治的側面も持つため”神聖なもの”と定義され民から遠ざけられることとなります。その結果、本来の”聖(ひじり)=日知り”の意味も消失し、目の前にある真に聖なるものが見えません。

 時間とは我々が思う以上に神聖ゆえに、真の古き遺物には刻まれ残されています。同様に古き遺物に分類される『最後の晩餐』にも刻まれているのは至極当然のこと。"日知り= 聖(ひじり)"であることをお忘れなく

 では聖の概念を破壊したところで次に進んでゆきましょう。



時間

 「最後の晩餐には時間が描かれている」と言われたら、上画像のようなイメージを連想するのが通常です。「60秒 × 60分 × 24時間 = 86400秒 = 1日」という単位。しかしながら最後の晩餐に描かれている時間は、単位は同じでも、長さや示し方はまるで違います。



ピラミッドが示す時間

 第一章でご説明した通り最後の晩餐には寸分違わずピラミッドが重ねられておりますから、ピラミッドが示す時間が最後の晩餐に描かれていると言うことになります。なぜならピラミッドは最も有名な古代の巨大な時計だから。ゆえにピラミッドが示す時間を先に知っていれば後の理解が容易になるため、ピラミッドが示す時間を先に簡潔にご説明申し上げます。



二つの時間

 ピラミッドが示す時間は二つあります。まずは一つ目から。

 ピラミッドの面は完全な平面ではなく若干くぼんでいます。普段は全くわかりませんが、”春分と秋分”にだけはっきりと影ができ画像のようになります。春分と秋分は"二至二分"の二分、つまり太陽暦の4つの節目の2つです。一年に4回しかない節目の二つに合わせて作られておりますから、ピラミッドが太陽の周期を意識し作られていることは明らか。つまり「365日=1年 = 太陽暦」、これがピラミッドが示す一つ目の周期です。



 二つ目は北極星が示す周期。王の間から北(図右)に伸びるシャフトはDracoを、女王の間から北に伸びるシャフトはUrsa Minorを示します。この二つの星は、それぞれの時代の北極星です。あまり星に興味のない方は"北極星は動かない北の点"と考えておりますが、実際は動きます。とてもゆっくりですが着実に動きます。

 古代エジプトの夫婦の神がジェド柱を支える壁画でも示されているように地球は約23.4度傾いており歳差運動が生じます。そのため地球は、自転(1日)、公転周期(1年)の他に”歳差周期”も有します。

 この歳差周期を示す天の時計の文字盤が北極星です。一見、止まっているかのように見える北極星。

 なぜ止まって見えるのかと申しますと、この天の時計が一周するに要する年数は"25920年"だから。角度にして1度動くのに72年かかります。人間の時間軸にしたら止まっているようなもの。それほど長大な周期を知らせる天の時計が北極星です。これがピラミッドが示す2つ目の周期。

まとめますと、
ピラミッドが示す二つの時間は
「太陽暦」と「歳差周期」

 しかしながら、『最後の晩餐』にこれらが描かれていると分かっていても、どのように描かれているかが分からなければ秘密は秘密のまま。「魔術師はどのように秘密を残すのか?」を知らねば理解ができません。ではピタゴラスに教えてもらいましょう。



秘密の残し方

多くの言葉で少しを語るのではなく、少しの言葉で多くを語りなさい 

ピタゴラス

 少々抽象度の高い言葉ですので補足いたします。あなたは”言葉”と聞いて連想するものは”話し言葉”や”書き言葉”ではないでしょうか?このピタゴラスの格言の説明は、大抵"名言"のような"要約言葉"のことであると説明されております。

 しかしながら魔術師は”言葉=言語”の定義が違います。言葉も数も幾何学も象徴も全て言語と捉えます。象徴の歴史を知っていれば当然ですね。中でも、最も少ない言葉で多くを語るもの、それは象徴。サーカムパンクトを思い出してください。

 ここに込められた意味は、最も古き者・宇宙の始まり・時間・孤高なる三位一体・円・円周・中心・π・無限など。円と点の極めてシンプルな象徴にざっと挙げただけでもこれだけの意味が含まれます。ですが知らぬ者にとっては全く意味が分かりません。象徴の過程を知らぬ故。これが魔術師の隠し方です。象徴が”そうである所以”、つまり”過程”を知らせなければ解読できず秘密は保持されたまま。古代から現代まで、この隠し方は一貫しております。

 『最後の晩餐』も例に漏れず、少ない言葉で多くを語るようにできています。その情報の多さ、深さ、まとめ方は、古き魔術師も舌を巻くほど。


 秘密の隠し方についてもう一つ。古き賢人は次元を理解してましたし、また利用もしました。3次元のものを2次元にしたり、2次元のものを3次元にしたりと。メタトロンキューブが良い例。

 大天使メタトロンの名がついた幾何学図形メタトロンキューブ。神聖幾何学に興味を持ったことのある方は、一度は見たことがあるのではないでしょうか?けばけばしく神秘的に描かれ特別な力があるとされる幾何学ですが…

 多くの人が大切だと思い込んでいるメタトロンキューブはただの影であり、古き賢人が残した本質はその名前にもある通りキューブ(立方体)です。第一章で引用した聖ベルナールの言葉を思い出して下さい。見方を知らねば影にしか目がゆかず本質に気づけません。これ見よがしにけばけばしい神聖を纏うものよりも、神聖に見えない地味で簡素なものの方が真理です。

シンプルさは究極の洗練である

Leonardo da Vinci

 少ない言語で多くを語り、2次元と3次元を自由に行き来し、究極にシンプルに仕上げる。魔術師の秘密の隠し方をご理解いただけましたでしょうか?

 では、「日知り」「二つの時間」「秘密の隠し方」を念頭に絵のDecodeへまいりましょう。



Decode : 太陽

太陽暦

 初めに第一章でご紹介した基本パスに対角線を加えます。すると、左から二人目の小ヤコブの手と右から3番目マタイの肩の部分で区切られていることが分かります。"3つづつ4つに区切られた12人の弟子"。この言葉を翻訳するなら”3ヶ月づつ4つの季節に区切られた計12ヶ月で示される太陽暦の一年”となります。

 そして、その示し方は、1から12の数字の月数ではなく ”” で示されています。分かりやすいように加えてみましょう。

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