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新居探しでの「巡り合わせ」 1/2 ー 同棲解消記録 『色恋を持たない多崎ありゅーと、彼の巡礼の年』

人は会うべき時に会うべき人と出会うものなのかもしれない、
と思った話。


独身ライフへの回帰

同棲解消ということで、上京民たる私は新しいお家を探さなければならない。ファミリー層への仲間入りをそろそろ果たす、と勝手に思っていた手前で、
急な人生の階段からの落下を経ての独身ライフおっかえり、おっかえり(ジョッキを枯らし無事輪廻の輪へ)というわけで、
せっかくなので世帯を持っては中々住めないようなエリアを引越し先の街として選定、最後の城を構えることに。ついに山手線の内側へ進出です。

同棲開始をするにあたってお世話になった不動産屋さんグループが、たまたまその街にも支店をオープンしていたので、迷うことなくそちらのお店にお世話になることに。(いや新規オープンだとその街の知見なくね?ってのは今思えばそうなんだけど、もうなんか考え至ってませんでした。)


後ろ向きな家探しにおいて

彼女はこの同棲解消を経て実家に戻った関係で、家具系のだいたいは私が引続き保持することとなり、単身にしてはそれなりに荷物が多い。従って間取り的にも単身にしてはそれなりの広さが必要。一度上がってしまった生活レベルを下げるのは難しい、とはよく言ったものだが、私の場合思考嗜好の部分というよりもはや物理的にそれが難しい状態。

事前に間取りを含めた希望条件はお伝えの上での予約来店の形を取ったが、もう色々と隠すのも面倒なので、開口一番、「同棲解消に伴う転居です。へへへ(←哀愁の化身として日本中が涙したヘラヘラ笑い)」という出力を採用した。

すると、今回の引越しでお世話になることとなる不動産屋さんの担当のTさん、こちらも開口一番、
「実は、私も同棲解消を経験しているんです、つい1年ほど前ですが」といきなり腹割りまくりの展開。
てゆかまじか。まじか。

Tさんはこのお店の新規オープンの責任者を任されたスーパー生え抜き人材で、バーテン経験で培われた顧客折衝能力をいかんなく発揮しつつ
エリア知見のない私に対し、求める水準のお家感に対応した家賃相場感(たっっっかかった…)、それを緩めるための代替案(エリアの拡大、私が事前提示した条件からの譲歩ポイントの提示等々)等の諸々を、非常に明快に示してくれた。

もうお仕事が大変おできになる方ってのは早い段階で十二分に伝わった。
従って、私の頭はもう彼の同棲解消の件が気になる子ちゃんピーシャラピーシャラって感じ。

手際よく内見先とロジを整えていただき、いざ出発。

内見に回る時間というのは、物件に向き合う本題以外の、移動等の隙間時間が非常に多く、Tさんとは上記の気になる子ちゃん踊るポンポk(略)な点を、たくさんお話しすることができた。


(以下、細かな点は少しフェイクを混ぜます、)
Tさんの同棲期間は私より全然長く、なんと6年。オリンピック2回くる。
学生時代から付き合っていた本当に大切な存在だったけれど、暮らしの中での根本の部分(わかりやすいところだと、休日の過ごし方が「動」か「静」か。人生における仕事・家族・プライベートのバランス感。など)が折り合わず、これは長い目で見ると無理じゃないかということに何となくお互い思い至り、話し合いを尽くした上での涙涙の同棲解消だった、とのこと。


私よりよっぽど壮絶じゃないの……。


ちなみに、Tさんが同棲をしていた街が、何と私が同棲前に独り暮らしをしていたエリアだったこともあり、すっかり意気投合。

当初はとても後ろ向きな引越しなのでそもそもテンションも上がらなかったし、何なら今のお家は1人で家賃払うの中々しんどいけれど同時にだいぶ気に入ってもいたので、住み続けるのもありか?引越しって諸々面倒くさいし…とか思っていた私であったが(人間、やはり現状をかえることを避けがちだね。)、
街をかえることが別れの傷の治癒に繋がったというTさんの先例を聞いたのは、引越しに進む契機となったと思う。

もちろんTさんは不動産仲介業者という立場上、引っ越せ引っ越せ!何なら今日きめろ!と促す立場であることは理解している。でも、Tさんの過去の話を聞くと、やはり今いる環境はスパッと変えなければいけないなという踏ん切りが極めて自然についたのである。


続く


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