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離婚後の母の恋

母は離婚してから、昼はパートで夜はホステスとして働きました。

夜職で出会ったのが、妻子持ちのHさん。
私も小さいながら可愛がってもらった記憶があります。
ディズニーランドやマザー牧場に連れて行ってもらいました。

所謂、典型的な不倫パターンです。
「お前のために離婚するよ」とでも言われていたのでしょう。
ですが、母は依存体質の為毎日一緒にいてほしいタイプなので、相手の奥様に不倫がバレてしまいます。
奥様から連絡が来て、彼の方に電話した時に
「どちら様ですか?」
と言われたそうです。

ここから母の人生・私の人生の歯車が狂っていきます。

泣いている母に、私は言いました。
「ママ、大丈夫?」
すると今まで見せたことのない鬼の形相をしながら母は言いました。
「お前がいたから私は捨てられたんだ。お前が出来なければあいつと結婚しなくて済んだのに。全部お前のせいだ。全部お前のせいで私の人生めちゃくちゃになったんだ。生まなければ良かった。」
私が悪いことをしたのかと、小さい私はわからずに
「ごめんなさい」
と言いました。
すると母は、私を突き飛ばし馬乗りになりそばにあるクッションを持ち顔に押し当てました。
息ができない私はじたばたしますが、馬乗りになられていては動けません。
もう苦しくて息ができない、何秒たったのかわかりませんが、その時の時間は非常に長く感じたのを覚えています。
母もまずいと思ったのか、クッションを取り私を抱きしめて泣き出しました。
「もうしないから、ごめんね。」
初めての事だったし、母が父と喧嘩すること以外で泣くこともなかったので何も言いませんでした。

ただあんなに小さい時なのに、覚えているものです。私は保育園に通っていた時の記憶もかなり鮮明に覚えてます。
この日以来、母は夜私を祖母に預けたりせずに置いていくようになりました。
朝方起きるといたはずの母がいないのです。
いよいよ外が明るくなり、近所の年寄り達が起きてきた頃に母が帰ってくるようになりました。
毎日のようにそんな感じで、昼も夜も働き、恐らくまた始めた覚せい剤でガリガリの母でしたが、私にとっては母が帰ってきた安心感しかありませんでした。

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