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負の連鎖が怖い!【映画】ビニールハウス

韓国の映画「ビニールハウス」を観た感想などを綴ります。

STORY
ビニールハウスに暮らすムンジョンの夢は、少年院にいる息子と再び一緒に暮らすこと。引っ越し資金を稼ぐために盲目の老人テガンと、その妻で重い認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている。そんなある日、風呂場で突然暴れ出したファオクが、ムンジョンとの揉み合いの最中に転倒。床に後頭部を打ちつけ、そのまま息絶えてしまう。ムンジョンは息子との未来を守るため、認知症の自分の母親を連れて来て、ファオクの身代わりに据える。絶望の中で咄嗟に下したこの決断は、さらなる取り返しのつかない悲劇を招き寄せるのだった。
(公式サイトのIntroductionより)


キャッチコビーに「半地下はまだマシ」にちょっと笑ってしまいましたが、韓国では貧困からビニールハウスに本当に暮らす人々がいて社会問題になっているそうです。そして映画に出てきた介護問題は日本でもよくありそうな背景でとてもシュールなストーリー設定でした。

上記の予告編やあらすじでも語られているように、訪問介護士の主人公が雇われ先の認知症の妻をアクシデントで死なせてしまい119番通報しようとした同じタイミングで息子から「お母さんと一緒に暮らしたい」という電話を受けます。息子との将来の為に起こした行動がとんでもな方向へ進んでしまい、最後は恐ろしい結果を招いてしまうというお話です。
ただですね、
恐ろしい結果は一つや二つではなくあっという間に負の連鎖になっていくんです。それが、リアルで起きてもおかしくないぐらいで怖い!

最初に119番通報していたら・・・?
息子から電話がかかってこなかったら・・・?
認知症の自分の母親を身代わりにしなかったら・・・?
主人公はどうなっていたんでしょうか。

この映画の面白さは負の連鎖が重なっていったその先が最後まで語られていない点が「肝」なんです。
なんというか、沢山の伏線が回収できていない(!)ので観客は見終わった後自分なりの考察のしがいがものすごくあるんです!
この点については賛否両論あると思いますし、一緒に見に行った韓国映画大好きな旦那さんは「最後はあそこでどんでん返しが欲しかった」などと言ってましたけども、私はあのエンディングだからこそ想像が搔き立てられ映画に込められた含みが見る側によって変化し良質な映画になっているように思いました。
(私から言わせれば結末にあっと驚くどんでん返しがあったら、ありがちなサスペンス映画で終わってたと思うけどなあ・・・)
そういう意味ではこの映画、ストーリー展開がヨーロッパ映画の雰囲気を纏っているように思えました。

私的にこの映画の評価は★★★★☆でした!

最近ではシロクロはっきり分かりやすいドラマや映画が多いですけれど、私は今回のような映画大好物です。そういえば前回観た「落下の解剖学」もなんとなく似ている気がします。
(↓「落下の解剖学」を観た感想など語ってます)

それにしても韓国映画はクオリティが高い!
先日「哭声/コクソン」観たんですけど、あれも國村隼演じる山の男の正体は、結局善/悪どっちだったのかすごく考えちゃいます。(見える姿が真実だとは限りませんよね。)
それから「エクストリーム・ジョブ」は痛快でした。ネトフリの「記憶の夜」も面白かったですね。


今回見に行ったのは京都シネマさん。
単館系(ミニシアター)でとても良質のインディペンデント映画を上映されています。
そして、なんと今週末より「ピーター・グリーナウェイ・レトロスペクティブ」を上映するそうです。

ビーター・グリーナウェイは私が若かりし頃、レンタルビデオ屋さんで何度もレンタルして観た大好きな監督さんです。40年以上経ってまさか映画館で作品が上映されるだなんて、本当に驚きです!
彼の作品、とにかく舞台美術が凝っています。衣装も素敵ですが「プロスペローの本」の衣装はワダ・エミさんのデザインですね。
お話はグロ・エロありではっきりいって奇妙。なのでかなり好き嫌いが分かれます。
ストリーミングだと唯一「コックと泥棒、その妻と愛人」がU-NEXTで観れますのでご覧になったことない方はご覧になってみて下さい。

では、また。

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