カプセルホテルの女① 『短編小説』
私はずっと書くことを仕事にしたいと思っていた。でも今まで出版社で働いたこともなければ、大学も出ていない。
憧れを持ったまま、とうとう32歳の誕生日を迎えてしまった。
大学を選ぶときに「文学部に入りたい」そう思ったこともある。
親に話してみると、「何夢見たこと言ってんの。文学部に入ったって就職先なんてどこもありゃしないよ」
そう言い切られてしまい、臆病な私は尻込みしてしまった。
父も母もなるべく大きな会社に就職して、安定した給料と年に二度のボーナスをもらい、年頃になったら同