#2 歩く木物語 〜迷惑な女〜
全5回にわたって、ARUKUKI誕生の物語をご紹介していく「歩く木物語」。今回は第2回「迷惑な女」です。
前回までの記事はこちらです。
#2 歩く木物語 〜迷惑な女〜
私はかつて夫と同じように、空気を読もうと努力をする人だった。私は誰よりも場を見て、先回りし、失敗しないように全力で手を打つような生き方をしてきた。それは、人に迷惑をかけないためだ。
私は自分のやり方に誇りを持っていた。
私が先回りして手を打ちさえすれば、失敗しないどころか上手くいく。誰にも迷惑をかけない生き方は、私に自信をもたらした。
基本的に、全部自分でやる。
誰にも頼らない。
しかし、同時に虚しさも感じていた。気が付けばオールラウンダーになっていた。私と同じくらい立ち回れる人が周りに一人もいない。だから、余計に自分がやるしかない状況が増えていった。
迷惑をかけずに成果を出すことは自分の中で大切な価値観だった。しかし、30歳を超えた頃、私のいなくなったチームや組織が衰退していくことに気がついた。私が迷惑をかけまいとして、仕事をしすぎたため、人が育っていなかったのである。
短期的に見れば結果を出しているが、長期的に見ると人が育っていない。その結果、組織が衰退してしまうことは、周りにとって迷惑なことだ。
迷惑をかけまいとして尽力してきた自分自身がその根源だったことにショックを受けた。
私は長い時間をかけて「自分には迷惑な部分がある」ということを受容していった。そのプロセスの中で、人に頼ることや弱みを見せることの大切さを学んでいった。
私の「迷惑さ」は、今は「感じたままを率直に伝える」という特性に変化をした。
(第3話につづく)
ちょこっと解説
こっちゃんは幼いころから「人に迷惑だけはかけないように」と育てられれてきた。幼いこっちゃんには、何が迷惑で、何が迷惑ではないのかがよくわからなかった。そこで、自分なりに考え、迷惑をかけないよう一生懸命に生きてきた。その結果、誰にも頼らず、弱音も吐かず、自分の力でやりきるという生き方が身についた。
そして、こっちゃんは、無意識のうちに「私は迷惑な女だから、迷惑をかけないように気をつけなければならない」という思い込みを持つようになった。
こっちゃんのシャドウの1つは「迷惑な女」だ。
シャドウに自覚的になることで日常にすぐに大きな変化があることもあるが、こっちゃんの場合は受け入れられないほどの大きなシャドウだった。シャドウとともに歩むプロセスは個人差がある。自分なりの付き合い方を探求することが大切だ。
シャドウは無数に存在する。自分自身にとって生きづらさを感じた時には、シャドウと出会うタイミングがきているのかもしれない。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
次回は「#3 歩く木物語 〜成長の限界〜」につづきます!
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