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「速読」と「ラグビー」〜「本がいままでの10倍速く読める法」読書日記〜

本投稿のGOAL:・「蝶の読書」の意味、大まかな仕組みが理解できる。
          ・SRS能力開発と、例えばスポーツの共通点を見つけられる。

菅原です。
相変わらず読書にふけっています。

今回読んだ本はこちら。
「本がいままでの10倍速く読める法 20ページが1分間でしっかり理解できる!」(栗田昌裕著、三笠書房発行)

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1、 著者紹介


医学・薬学博士。SRS(スーパー・リーディング・システム)開発者。日本で最初の速読1級検定試験(テレビカメラの前で1分間に本1冊分約210ページを読み切り、その本についての細かな質問に答え、詳細なあらずじを記す試験)合格者。SRSとは、文章を文字を追って読むのではなく、1ページを写真のように、いわば「空間」として脳内に取り込む速読法。速読法を口火に、SRS能力開発法(速読法の副作用として得られる能力の開発法)も提唱し、多数の有名企業の研修も請け負うなど、多岐にわたり活躍している。有名な「指回し体操」の生みの親でもある。


2、 尺取り虫の読書

「尺取り虫」をご存知ですか?
私も虫については明るくなく、むしろ大嫌いな部類なのですが、「イモムシ」をイメージしてもらえればいいと思います。詳しくはないですが。調べるとそんなビジュアルでした。イモムシなので、動きは鈍いですよね。
現代人の、1分間で読める文字数の平均は、800〜900字だそうです。
ちなみに、測ってみると私も「809字」でした。
ただ、SRS開発者である著者は、1分間に210「ページ」ですからね。210「文字」ではありません。
少し話が逸れましたが、通常、読書と言うと、一般的には上から下に「這っていく」ように文字を追いかけていきます。
これを著者は「尺取り虫の読書」と言います。
つまり、尺取り虫のように遅い、と言うことです。
文字を追う以外に読書の方法なんてあるのか!?
と思いましたが、これがあるそうです。


3、 蝶の読書

「蝶の読書」とは、蝶がヒラヒラと、華麗に宙を舞うように、滑らかにページをめくっていく読書法のことです。
これこそがSRS速読法です。
言わずもがなですが、内容もしっかり理解して、の話です。
私のような一般人には、にわかには理解し難い内容ですが、「蝶の読書」を実現するために、あらゆる訓練が、体系的にまとめられています。
例えば眼球運動の訓練。初心者は30秒間で、眼球を左右もしくは上下に、平均で40〜45回往復させられるそうです。
これを訓練によって約60回に高める方法が紹介されています。
最初は尺取り虫の読書から入ったとしても、眼球が素早く動かせれば、文字を素早く追える、というのは想像できます。
または周辺視。
私はここがいちばん印象に残りました。
人間は、網膜の中心部「黄斑」と言うところで見る対象を把握します。簡単に言えば「ピントを合わせる」。対象が見えにくい時は、首を傾けたり、瞬きしたりしますよね。これは視野の中心を黄斑に合わせるためです。
一方周辺視は、視野の中心からは外れた、大雑把な情報を集めるために用いられます。例えばサッカーやバスケットボールで、ボールを持ってドリブルをしている時、「視野の端」に相手ディフェンダーが見えたので、ドリブルの方向を変える、ということがあるのは共感していただけますよね。それが周辺視です。
当然ラグビーでも物凄く重要なファクターです。ボールや目の前のタックラーしか見えないよりも、その周囲のディフェンダーの様子が何となくでもわかったほうが、判断材料が増えますからね。
この周辺視も、

「『視野の端に青い服を着た人が見えた』→『実際に中心視で確認する』→『同じ対象をもう一度周辺視で見てみる』

といった訓練を積むことで、その正確性を高めることができるそうです。
訓練を積むと、周辺視の範囲が広がるのではありません。訓練によって脳が周辺視で集めた断片的な情報で、正確に対象を把握するようになる、ということのようです。
追う文字を中心視で見ているとしたら、それ以外の文字は周辺視で見ていることになります。
その周辺視の情報が正確なら、脳で把握する範囲も広がる。
「周辺視って広がるんだ」と、思わず唸ってしまいました。
説明しきれませんが、こうした多彩な訓練を重ねることで、蝶のようにページをめくる「蝶の読書」が可能になる、そうです。


4、 SRS能力開発開発

ご紹介したもの以外にも、速読法に必要な姿勢や呼吸法等、本当に様々な方法、実践例が挙げられていました。これらを組み合わせることで、例えば先にご紹介した周辺視が広がることで、車の運転が上手くなったり、スポーツのパフォーマンスが上がったり、姿勢や呼吸がが整うことで、今までは見えなかったものが見えるようになったり、違って見えるようになったり、集中力が増したり、これらの結果、豊富にアイデアが生まれたり…。速読の言わば副作用として、いろいろな能力が開発されていきます。
副作用と言うと、偶発的なイメージもありますが、これらを全て意図的な理論、方法で組み立てていきます。
私では到底説明しきれない、速読をきっかけとした多彩な能力の開発方法、それが「SRS能力開発」です。
ただ勘違いしがちですが、この本を一度読んで、少し実践例を試したところで、当然「蝶の読書」もできませんし、能力の開発もされません。
あくまで訓練が必要です。


5、 最後に


改めて本書では、速読にまつわる様々な方法が紹介されています。
今回の読書を通し、私は、
「『今まで使っていなかった身体の部位への働きかけ』の重要性」
を再確認しました。
脳も含め、今まで使っていなかった身体の部位を使わない限り、そこから新たな能力を発見できることはありません。
眼球運動ひとつとってもそうです。
人間は眼球をほとんど動かしません。中心視で見えていなかったものを見ようとする時、人間は眼球ではなく、首や頭を動かします。
ラグビーでも同じと考えます。
ラグビーは基本的に、手を使ってボールをパスし、上半身で相手にぶつかり、ボールを前に運びます。
しかし、それはラグビーの一部分に過ぎないと思います。
ラグビーはキックやステップという、足を使ってボールを前に運ぶ方法だってあります。
今の時代は、キックで前にボールをパスする技術理論も発達しています。
しかしラグビーの練習の多くは、パスやタックル、ボールを持ったコンタクトが多く、しかも体幹を含めた上半身にフォーカスすることがほとんどです。
下半身は、上半身を支えるもの、という捉え方に過ぎない気がしています。
私はキックを重要視します。
ステップでタックルを「かわす」もしくは「ずらす」方法を模索します。

意図的に下半身を使えるようにすることで、プレーの選択肢が増え、しかもケガの予防にもつながると思うからです。
特に女子ラグビー選手は、膝のケガが多いですからね。
もちろん、膝をはじめとした下半身のケガは、それ以外の要因もありますが。
下半身が使えるようになることで、今までできなかったプレーができるようになる、ケガが少なくなる。
これも能力開発ですよね。
「速読」と「ラグビー」の共通点が見えた、今回も大変有意義な読書でした。


本日もお読みいただき、ありがとうございます。


ARUKAS YOUTH KUMAGAYA ヘッドコーチ 菅原悠佑

ありがとうございます。今後ともアルカスユース熊谷をよろしくお願いいましたす♪