共棲の間合い -『確かさ』と共に生きるには-
東京都渋谷公園通りギャラリーで開催中の展覧会、
“共棲の間合い -『確かさ』と共に生きるには-”に行ってきました。
展覧会のテーマは、共棲。
つまり、共に暮らす、共に生活することを起点に、表現を続けている4人(組)の作家を紹介する展覧会です。
まず紹介されていたのは、村上慧さん。
TERRADA ART AWARD2023のファイナリストにも選ばれていた作家です。
その展示スペースは、なんと落ち葉で埋め尽くされていました。
ちなみに、これらの落ち葉は、
ほど近くの代々木公園で集めてきたものだそうです。
さて、展示のメインとなるのが、こちら↓
落ち葉でできた足湯とサウナです。
微生物が葉を発酵させる際に、熱が発生するのだそうで。
その温度は最大60度近くにもなるそうです。
なお、こちらの落ち葉の足湯は、
実際に体験することが可能となっています。
直接、足を入れると、汚れてしまうので、
このように足を入れるための袋が用意されていました。
見た目は、ただの落ち葉ですが、思っていた以上に、暖かかったです。
足湯というか、砂風呂に入っている感じに近い印象を受けました。
ただ、個人的な率直な感想としては、
ずっと浸かっていたいほどの心地よさはなかったです(笑)。
続いて紹介されていたのは、スウィング。30名ほどが働く京都の福祉施設です。
スウィングは定期的に「ゴミコロリ」という清掃活動を行っているのだそう。
その最大の特徴が、ゴミブルーの存在。
選ばれし者がゴミブルーとなって、「ゴミコロリ」に参加するのだそうです。
ゴミブルーがいることによって、単なる街の清掃活動にバグを与え、
日常が非日常的なものになるのだとか。
なお、ゴミブルーは、専用の名刺や、専用の火バサミも持ち歩いているようです。
3人目に紹介されていたのは、折元立身さん。
認知症を患った母の介護をアートにした、「アートママ」シリーズで知られるアーティストです。
本展では、さまざまなタイプの「アートママ」作品が紹介されています。
ちなみに。
会場では、アートママの本名も紹介されていました。「男代」と書いて、「おだい」と読むのだそう。
名前に『男』の一字が使われた女性なんて、歴史上、折元男代さんただ一人なのではないでしょうか。
アートママの名付け親もまた、アートママ(アートパパ?)です。
なお、展覧会では、折元さんのもう一つの代表的シリーズである、フランスパンで顔を埋め尽くす「パン人間」シリーズも紹介されています。
驚きと呆れが、ちょうど半々くらいの、
外国人男性の表情が何とも言えません。
世が世なら、迷惑系ユーチューバーと思われていたかも。
さてさて、展覧会のラストを飾るのは、酒井美穂子さん。
滋賀県甲賀市にあるアートセンターで、
福祉施設の「やまなみ工房」に所属している作家です。
彼女は28年以上、どこであってもだれと居ようとも、「サッポロ一番しょうゆ味」を常に手に持っているのだそう。
食べるわけでもなく、ただただ握って、ビニールの擦れる音を聞いているのだとか。
会場では、そんな酒井さんがこれまでに握りしめてきた、「サッポロ一番しょうゆ味」が壁一面に展示されていました。
その数、実に1000袋以上!
毎日、やまなみ工房のスタッフによって、新しい「サッポロ一番しょうゆ味」が手渡されるそうで、
それぞれの袋には、いつ握っていたものか記録された付箋が貼ってありました。
一見、全部同じに見えますが、
酒井さんのその日の気分によって、
握りしめた具合が異なるのだそうです。
余談ですが、たくさん並んだ袋の中には、“おうちで偏愛フェス”なるキャンペーンが記載されたものもありました。
「サッポロ一番しょうゆ味」をもっとも偏愛している人。
それは間違いなく酒井さんです。
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