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鉄の町、北九州の神社に奉納する「鉄のしめ縄」を制作するアーティスト母里聖徳

こんにちは、アーツトンネルのタカキです。

鉄のしめ縄。てつのしめなわ?

みなさんは「鉄のしめ縄」って、見たことありますか?

先日、北九州市にある豊山八幡神社という1,400年の歴史がある神社で「鉄のしめ縄」を奉納する前に必要な「入魂式」という神事が行われました。

実は、アーツトンネルは、この「鉄のしめ縄」を制作するアーティスト母里聖徳さんから依頼を受け、この作品のプレスリリースをお手伝いすることになったのです。

そこで、北九州市八幡東区の小高い丘の上にある豊山八幡神社に取材に行ってきました。

入魂式の様子

鉄の町、北九州

1901年、近代化を進めたい日本は北九州市八幡東区にある工場を作りました。官営八幡製鐵所(かんえいやはたせいてつじょ)。その名の通り、官(国)が営業する製鉄所です。

1887年当時、日本の主要なエネルギーは石油ではなく石炭でした。つまり、製鉄には安定した石炭の供給が必要不可欠。そこで国は大きな炭坑がいくつもある筑豊炭田に目をつけました。

しかも、筑豊地方を流れる遠賀川のおかげで、筑豊で採掘された石炭は、船で運搬することができます。

そして、北九州には洞海湾という内湾がありました。

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材料や燃料を船で運搬するに適した海、そして、筑豊炭田。北九州市八幡東区は、製鉄するために必要な要素を満たしていたのです。

北九州市は官営八幡製鐵所を中心とした製鉄の産業で発展していき、ここで製造された鉄が日本の近代化を推し進めていきました。

そして、北九州は鉄の町として栄えていったのです。

しかし、その鉄が「戦争」に用いられてしまった事実は、決して忘れてはなりません。

「世界人類が平和でありますように」と豊山八幡神社に建てられている

北九州で活躍するアーティスト母里聖徳は、その鉄の歴史と向き合い、作品の制作や大きなアートプロジェクトを行ってきました。

宗左近(1919年〜2006年)の生誕の地モニュメント「鐵偶」(母里聖徳さんの作品)

「鉄」の存在をアートの力で再認識しようとしたのです。

鉄の町と石炭の町の間(はざま)水巻町出身のアーティスト母里聖徳

母里聖徳さんは、1956年に水巻町で生まれました。

「酒は飲め飲め、飲むならば、日の本一のこの槍を、飲み取るほどに飲むならば、これぞまことの黒田武士」

有名な黒田武士、黒田藩きっての大酒豪であり、槍の名手でもあった母里太兵衛友信(もりたへいとものぶ)は、母里さんの先祖です。母里さんの息子である大徳さんはアーツトンネルのメンバーでもあります。

聖徳さんの作業を手伝う息子の大徳さん

母里さんは、1987年国際鉄鋼彫刻シンポジウム・ YAHATA(東田高炉記念広場)など多くのアートプロジェクトを手掛けるほか、鉄のアーティストとして作品制作を手掛けています。

また、2022年北九州市立美術館アネックス市民ギャラリーにて約40年間の活動を振り返る創作回顧展「母里聖徳・鉄鋼彫刻の軌跡展1986-2022」が開催されました。

今回、母里さんは、豊山八幡神社から依頼を受け「鉄のしめ縄」を制作しています。

神社とゆかりのある「蛇」があしらわれている

さらに、「弓」と「鐵偶」と呼ばれる作品を奉納する予定です。


WARと刻まれた鉄の塊

母里聖徳さんの想いを引き継ぐアーツトンネル

母里さんは以前、田川市で「アイアートレボ」という筑豊地域のアート普及のためのNPO法人の代表をしていました。

アイアートレボは「GOTTON ART MAGIC」や「大隈アートマジック」などいくつかの大きなアートプロジェクトを開催。

全国から筑豊に作家を招き、レジデンスでの作品制作やワークショップなど、全て素晴らしいプロジェクトでした。

しかし、その活動は数年で終わってしまったのです。

僕らアーツトンネルのメンバーはそれらのプロジェクトに参加したり、観覧したり、いろんな形で関わっていました。

そして、その数年後、アーツトンネルの活動を始めることになります。

その時、気づいたのです。これは代替わりのようなものかもしれない。

アイアートレボが実現したこと、実現できなかったこと、これをアーツトンネルは引き継いでいるような気がします。

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