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李禹煥と「もの派」を考える

李禹煥と「もの派」を考える

李禹煥(リ・ウーファン、Lee U-Fan、이우환/1936- /韓国のアーティスト)

日本の現代美術の大きな動向である「もの派」(ものを素材そのままに、 単体、また、組み合わせ、作品とする)を理論構成して、主導した。
代表作は「点より」「線より」シリーズであり、日本を拠点に世界的に活動している美術家だ。

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李禹煥と「もの派」を考える・・・

視覚の不確かさを乗り越えようとした李禹煥は、その作品の中で、自然や人工の素材を節制(適度につつしむ)の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を、関根伸夫(1942 - 2019/日本の現代美術家、彫刻家)と共に、牽引した功績をもつ代表的な1人だ。
そして、万物は、相互関係のもとにあるという哲学的な世界観を、視覚芸術だけでなく、著述においても展開した。
1969年「事物から存在へ」美術出版社(芸術評論賞)などに示した思考は、「もの派」の理論的支柱にもなっている。
それは、東アジアの哲学的な視点から、文化の体系化を担って形成されている。

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略歴と主なアートワーク

略歴と主なアートワーク - 이우환/Lee U-Fan
1936年、大韓民国慶尚南道生まれ
1956年、ソウル大学校美術大学を中退後、来日。
1961年、日本大学文理学部哲学科、卒。
1969年、「事物から存在へ」が美術出版社・芸術評論募集に入賞。
1971年、評論集『出会いを求めて』(田畑書店)を出版、国内外の美術界に影響を与える。
2010年、香川県直島町に初の個人美術館である李禹煥美術館が開館。(安藤忠雄とのコラボレーション)

李禹煥美術館

ベネッセアートサイト直島

2015年、釜山市立美術館敷地に2館目の個人美術館李禹煥ギャラリー
(Space Lee U-Fan)を開館。
現在は、多摩美術大学名誉教授。

李禹煥

李禹煥(c)産経

展示・受賞

個展および国際展への展示・受賞多数。
1977年、第13回現代日本美術展 東京国立近代美術鑑賞
1979年、第11回東京国際版画ビエンナーレ 京都国立近代美術館賞
1979年、第1回ヘンリー・ムーア大賞展 優秀賞
1994年、日本文化デザイン賞
2001年、湖巌賞 (ホアムしょう/韓国の学術賞)-芸術部門賞
2001年、高松宮殿下記念世界文化賞 絵画部門賞
2001年、「Lee Ufan」展(ドイツ・ボン市立美術館)
2002年、上海ビエンナーレ ユネスコ賞
2006年、第47回毎日芸術賞
2007年、「Resonance」展(イタリア・ヴェネツィア・ビエンナーレ)
2014年、「李禹煥 ヴェルサイユ」展(フランス・ヴェルサイユ宮殿)
2019年、「Lee U-fan. Inhabiting time」展(フランス・ポンピドゥー・センター・メス)
2019年、「Lee U-fan」展(アメリカ・ディア・ビーコン)
2019年、「Lee U-fan: Open Dimension」展(アメリカ・ハーシュホーン美術館・彫刻庭園)
2022年8.10-11.7、国立新美術館開館15周年記念-李禹煥

李禹煥と「もの派」の絵画のコラムに続きます。お時間の許す折に・・・

#李禹煥 #もの派 #現代アート #事物から存在へ #学術

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