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AIとバトルして勝つ話

AIとバトルして勝つ

昔からあるテーマですね。50年以上前の「2001年宇宙の旅」からターミネーターシリーズまで数多くの小説・映画があります。心に残っているバトルとして、山本弘「プロジェクトぴあの」(PHP研究所、ハヤカワ文庫JA)の「ぴあのVSメカぴあの」の章を挙げたいと思います。
 主人公は結城ぴあの。「科学の歌姫」で「最後のアイドル」、そして「人類の恩人」であり「世界の変革者」という二つ名を四つ持つ少女です。天才科学者で開発費をかせぐためにアイドルをやっています。
 何の開発費かというと恒星間飛行のためのエンジンの開発費です。小説は今から数年後くらいの設定です。

最後のアイドル

「最後のアイドル」という二つ名は、AIが進化して感情や人工意識を持つ時代を背景としているためです。2024年の生成AIを見るに小説よりも遅れ気味ですね。五感だけで無く感情や意識を持つようになったAIがアイドル業界にも進出。もう人間のアイドルはいらないんじゃないかと言われています。トップアイドルの結城ぴあのも、自分そっくりのメカぴあのが出現して開発費を稼ぐ手段がピンチです。
 人口声帯を持ち、見た目は全く同じ、全く同じ声。感情も意識も持っているメカぴあのとの直接バトルで、結城ぴあのは「壊れる人間であること」を武器として勝利を収めるのです。不壊のAIには手に入れることができない武器です。これ以上知りたい人は小説を読んでください。

AIの寿命

メカぴあのは負けましたが、AIにも死を設定することで、さらに人間に近づいていくのかも知れません。小林武彦「生物やなぜ死ぬのか」(講談社現代新書)には「生き物にとって死とは、進化、つまり『変化』と『選択』を実現するためにあります。「死ぬ」ことで生物は誕生し、進化し、生き残ってくることができたのです」とあります。死が無いと次の世代は進むことができないのです。

追悼

結城ぴあのが発明したピアノ・ドライブが出てくる「地球移動作戦」、と学会のトンデモ本の本、本の紹介で闘うビブリオバトルシリーズ、MM9シリーズ。どれも大好きです。山本弘氏は、ここ数年闘病していたのですが、2024年3月29日、68歳で次に進んでいきました。

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