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湖畔の白鳥

正月に降り立つ白鳥たち。

正月に猪苗代湖の白鳥を家族で見に行きます。
真っ白の地平線に、豪雪と寒さで震えながら、白鳥にパンを一掴み。そんな幻想的なワンシーンではありますが、先日、知り合いの獣医さんからこんな話を聞きました。

新卒のころ、初めての赴任地で白鳥を捕獲して怪我の手当てをする仕事がありました。白鳥の動きを止めるには、ストッキングを頭からスポッと被せるそうですよ。するとフリーズしてしまうとか。
そこで捕獲に挑んだ獣医さんの手に、なんと無数のダニが這い上がってきて、ギャッ!っと悲鳴を上げたそうです。
彼は「白鳥には要注意ですよ!」と念を押してましたが、僕の人生で、その警告を活かせる日はこなさそうです笑。

そこで考えました。
あの壮大な猪苗代湖と、優雅な白鳥の影には、無数のダニや、壮絶な生命の奪い合いという生々しいものが潜んでいるのだと。
我々人間は、時に自身のちっぽけさを嘆いて、遠い窓からその壮大な景色を「精神性の媒体」として鑑賞するものです。
しかし、ダニの気持ち悪さや生々しさも、また生命の一部なのであれば、自分自身の愚かさや、矮小さや、愚かしさや、そんなものも、受け入れられるような気がしてくるのです。
ダニだって、美しく生きているんですから。迷惑とか関係なく、自然の摂理の一環として。

この世の果てのような雪の湖畔の中で、もう一度よく見つめたい。その世界と自分の心が、どのように共鳴し合うのか。とても興味があります。

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