持続可能なくらしを作るまで-1
持続可能なくらしをデザインする
私は、健康で、食とエネルギーと快適な住まいがあれば、世の中なにがあろうと基本生きていけると考えています。
そんな訳で、持続可能なくらしをデザインして、実際に作ってみて、それを世の中に広めたいと考えているのです。
形や色ではなく、しくみのデザインです。もちろん、快適、安心、かっこよい(シンプル)が基本となります。
まずは土地を手にいれる
東京圏で自分たち夫婦でも買える範囲の土地。せっかくだから見晴らしも良い。快適なある程度耕作もでき、食べ物が作られている地域の適度な田舎。
千葉の房総半島に狙いを定め、探しました。結果、富津の海の前の土地に巡り合いました。
巡り合ったというのは、1日いろんな房総の南のほうまで土地を見たのですが、もうダメだから帰ろうと高速にのり、木更津の近くまで来た時、冗談半分で、スマフォのグーグル先生に「この辺に良い土地ない?」と聞いたら、「近くにあります」と出ました。すぐに高速を降りて、示す場所に小さな不動産屋さんがありました。
入ってご主人に、「今日は散々で朝から別荘を建てるための土地を見たのだけど、全然なかった。なんかありませんか?」と尋ねました。
すると「まだ物件に出てないけど、近くに海の前の土地を、一人の男の人が開拓している土地があるけど、見ますか?」ときた。
「ぜひ見せてください」と車について行きました。
「キタ〜〜〜〜〜」
目の前が海で、プライベード感満載の土地です。即決しました。
そんなわけで、土地は手に入れました。
エコハウスを造るまで
さて、小さくとも快適なエネルギー自立型のすまいをつくりたい。
まずは自分で基本図面を描いてみました。それを元に施工会社にお願いしましたが、最終的にうまくいかない。1年半がたちました。
次に建築家にお願いしました。これもエコ的な考えが折り合わず結果的にはうまくいきませんでした。3年がたちました。
極小住宅の原点にもどる
そして、もう一度原点に立ち返り、小さくて快適な夫婦二人が仲良く住まう家を再考しました。
結果、極小住宅の名作である9坪ハウスを原点とすることにしました。9坪ハウスとは1952年に増沢洵(ますざわまこと)氏が自宅として設計した小さな家。基本は正方形(3間×3間)の2階建の極小住宅です。
9坪ハウスの間取りを考える
9坪ハウスの間取りを単純化して考えてみました。
基本は正方形(3間×3間)で、1階が四畳半が4つ、2階も同じく4つとれる大きさとなります。2階の一つを吹き抜けと階段にします。結果立方体の建物となり、1、2階でつながった空間ができます。4畳半単位で考えると、1階の4つのゾーンと、2階吹き抜けを除いた3つで合計7つのゾーンになります。キッチン、洗面お風呂、居室をゾーンに設定して組み合わせます。玄関は階段下ドアのみでほぼありません。
9坪ハウスの体験
9坪ハウスを原点にした家は、萩原修さんの「スミレアオイハウス」のイベントに何度も行っていて、知っていました。
そして私の妻が、熊本に惚れ込んで建てた家も9坪ハウスです。熊本の9坪ハウスは厳密には一辺を6,000にした一回り大きな10坪ハウスですが、元祖と考え方は同じなのでここでは9坪ハウスと呼びます。熊本空港の近くにあり大人気の民泊です。自分たちもセカンドハウスとして使います。
どちらも、コンパクトなのに狭さを感じません。なにより空間全体が一つにつながっていて家族の息遣いを感じて、慎ましくも仲良く、かつ多様に暮らせる家です。
今回の富津の9坪ハウスも、食エネ自立のエコ体験ができる民泊として、私たちの利用だけでなく、沢山の人たちに民泊で体験をしていただき、9坪エコハウスの輪が広がることを願っています。
9坪ハウスの間取りマジック!
9坪ハウスの良いところは、基本は立方体で、四畳半7つと吹き抜け一つのユニットで組み合わせを考えると、いろんな住まい方に対応できます。
吹き抜けがあるので、どのように組み合わせても、狭さを感じないで、かつ一体感ある空間ができます。
熊本の家は、1階がキッチンで2階が寝室ですが、今回の富津の9坪ハウスは海の前の絶景なので、2階をキッチンにして、1階の1つのゾーンを畳にして、そこで寝る組み合わせを考えました。そして両サイドに趣味の小屋をつけました。
基本設計を熊本の9坪ハウスの建築家にお願いする
そんな訳で、熊本の9坪ハウスを設計した水田和弘氏に、基本同じだけど、2階を今度はキッチンにしてくださいとのオーダーをして、基本設計をしていただきました。熊本の9坪ハウスと同じく厳密には一辺を6,000にした10坪ハウスです。
今回9坪ハウスの母屋を基本に、南サイドに趣味のサウナと休憩室を、北サイドにオートバイを置いたり工作場にもなるガレージをつけてもらいました。
9坪ハウスを基本にして趣味的な小屋を付加することで楽しみが増します。
9坪ハウスにパッシブハウス性能を付加してもらう
そして、最初自分の設計で頓挫した設計事務所で工務店も兼ねている菅沼建築設計さんに再度お願いをして、めでたく作っていただけることになりました。
菅沼建築設計さんでは、尺寸を基本とするので、水田さんにお願いして、一辺をメートル基準の6,000mmから、尺寸基準の5,460mm(三間)に一回り小さく修正していただきました。結果、原点と同じ大きさの9坪ハウスになりました。
水田さんの修正版9坪ハウスの基本設計をもとに、菅沼さんにパッシブハウスの性能を付加した実施設計をお願いしました。
パッシブハウスとは、高断熱・高気密による省エネハウスの一種で、ドイツが本場です。屋根下断熱の厚さは400ミリにしてもらい、壁は通常断熱100ミリに外断熱100ミリを付加して合計200ミリとなりました。
パッシブハウスの実体験
パッシブハウスの省エネ性と使い心地は、現在住んでいるマンションの自宅を8年前にパッシブハウス化して、実証済みです。
それまでエアコン2台を使っても、エアコンを使う居室以外は寒暖差がある季節は、寒かったり、暑かったりしていました。それがパッシブハウス化以降小型エアコン1台でトイレや廊下を含むすまい全体がコントロールできるようになり、快適だけでなく劇的に省エネにもなりました。
パッシブハウスの考え方は、家全体まるごとを高断熱・高機密にして、簡単にいうと魔法瓶のようにします。結果、わずかなエネルギーで家まるごと目指す温度が維持可能となります。
小さくて快適な、食エネ自立型エコ体験ができる民泊をめざす
今回の富津の9坪ハウスは、電気は系統電力につながない完全オフグリットで食エネ自立型のエコ体験ができる民泊を目指します。太陽光電と蓄電器によるエネルギー完全独立型エコハウスのため、作れるエネルギーに限りがあり、省エネが必須ですが、快適性も確保したいです。立方体の1、2階が吹き抜けで繋がった極小住宅である9坪ハウスは熱効率がよくエコハウスの原型として最適です。
それを活かすにはドイツ型パッシブハウス並みの性能が必要です。ちなみに日本の現在の新エコ住宅性能の倍ぐらいと考えて良いです。家の省エネ性能を上げるには、太陽光電などのエコ設備をつけるだけでなく、断熱材で外壁全体を厚くし、高気密にする必要があります。
日本においては、いまだに寒い地域を除いて、断熱材を厚くするのを嫌う傾向が建築界にはあります。しかし温暖化における内外気温の差がますます大きくなる季節において、エアコンを効率的かつ快適に使うのはますます重要なのではないでしょうか?そのためにもエコハウスの断熱性能を世界基準以上にする必要があります。
エネルギーが自立できない日本において、早く住宅本体の断熱性能の表示がわかりやすく標準化され、表示の義務化がされることで、世界の先進国と同等以上になることを願っています。
建設がはじまる
土地を買ってから5年がたちました。
いよいよ2023年7月10日から基礎工事が始まりました。
ここから先は、パッシブ型9坪ハウスの完成とエネ自立までを「持続可能なくらしを作るまで−2」で書いていきます。
そして、食の自立を「持続可能なくらしを作るまで−3」で書いていこうと思います。
引き続き読んでいただければ、うれしいです。
エネ自立「持続可能なくらしを作るまで−2」へ つづく・・・・・・・
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