浅井治彦

工業デザイナー/明星大学デザイン学部教授。持続可能なライフスタイルとエコデザインに注力…

浅井治彦

工業デザイナー/明星大学デザイン学部教授。持続可能なライフスタイルとエコデザインに注力。1997年JIDAにエコ研究会を設立以降「エコデザイン展」をメンバーと毎年開催。iFエコロジーデザイン賞(独)、Gマーク(日)など受賞多数。共著として「ECO DESIGN」東京大学出版会

最近の記事

持続可能なくらしを作るまで-1

持続可能なくらしをデザインする  私は、健康で、食とエネルギーと快適な住まいがあれば、世の中なにがあろうと基本生きていけると考えています。  そんな訳で、持続可能なくらしをデザインして、実際に作ってみて、それを世の中に広めたいと考えているのです。  形や色ではなく、しくみのデザインです。もちろん、快適、安心、かっこよい(シンプル)が基本となります。 まずは土地を手にいれる  東京圏で自分たち夫婦でも買える範囲の土地。せっかくだから見晴らしも良い。快適なある程度耕作もでき、食

    • 完全オフグリットのエコハウスを見た!

       完全オフグリット、つまり公共の電気や水道のつながりがなく、排水や下水も独立したエコハウスを見てきました。  太陽力を有効に使い、世界になにが起きようと、エネルギーと水があり、安全、快適に住める。オーナーはチーズ作りの巨匠である吉田全作さん。酪農だけでなく、本格的パン釜で美味しいパンも自作します。有機で葡萄棚までつくりワインを作ることまで目論んでいるのです。  建築家の中村好文さんとチーズ作りの巨匠、吉田全作さんが、がっつり手を組んで作り上げた、自然と共に生きる、楽しく気持ち

      • 持続可能な暮らしと、エネルギーと食について。

        エネルギーと食の依存率が高い日本 次の2つのグラフが示すように、日本のエネルギー自給率・食糧自給率いずれも諸外国と比べると低く、海外に大きく依存しているのが現状です。特にエネルギー自給率はOECD36カ国中35位と燦々たる結果です。 私は、エネルギーと食と快適な住居さえあれば、大抵の問題は乗り越えて暮らしていけると考えています。 住居はさておき、暮らしにおいて欠かせない「エネルギー」と「食」の自給率が低い日本において持続可能な暮らしを実現するためには、私たち一人ひとりが、

        • 自宅マンションをパッシブ化する実験。

          マンションでは珍しい断熱リフォーム エコ研究をしている中で、自分が住む中古マンション(約50年前の1969年竣工)の自宅(48㎡)を、エネルギーをあまり使わなくとも快適なエコハウスに出来ないだろうかと考えました。 色々調べた中で注目したのが、ドイツのパッシブ方式(高断熱高機密住宅)です。定められた基準を満たす断熱環境を実現することにより、まるで住まい全体が魔法瓶のように温度を一定に保てる空間になるということがとても魅力的でした。 というのも、私が当時住んでいたマンションは

        持続可能なくらしを作るまで-1

          中村好文さんの住宅建築を見て・・・

          住宅建築の巨匠である中村好文さんの著書はこれまで何冊も読み、雑誌記事もいくつか見てきたものの、実際の建物を見たことは一度もありませんでした。 一度この目で見てみたい!そんな思いから、昨年竣工した石川県中能登のパン屋さん「月とピエロ」の長屋さんにお願いし、店舗・工房兼ご自宅を見学させていただきました。 初めて見る中村好文さんの建物は想像していた以上に空間のつながりやディテールが素晴らしく、見学中は感動しっぱなし。見学後も、しばらく放心状態。 土地になじむ外観 外観は地域の

          中村好文さんの住宅建築を見て・・・

          私が「持続可能なエコハウスをつくる」と決意するまでのこと。

          今回は、タイトルにある「持続可能なエコハウスをつくる」という決意に至るまでの、私の色々な出会いといきさつについて書いてみたいと思います。 地球環境セミナーで衝撃を受ける あれは1996年夏のことでした。兄に誘われて「地球村」の高木善之さんの地球環境セミナーを聞く機会がありました。 人間の活動により地球環境がここまで悪くなっているという事実を突きつけられた私は、大きな衝撃を受けたのを覚えています。 しかしその時は、ただ衝撃を受けただけ。自分ひとりが地球環境のために何が出来る

          私が「持続可能なエコハウスをつくる」と決意するまでのこと。