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【#24】材料力学の強化書 〜はりのたわみ曲線について〜

今回のトップ画像ですが、オーストラリアの首都でもあるメルボルンのミサ前の教会の写真です。綺麗なステンドグラスが前面に出てますね。同時に全体の雰囲気は格式高い感じがします。

さて、材料力学の話に戻りましょう。

前回は引き続き、せん断力線図(SFD)と曲げモーメント線図(BMD)について確認しました。また、例題として、片持ちはり(固定支点)におけるSFDとBMDについて見ていきました。

今回は新たな単元に進みます。主にはりのたわみについて見ていきます。たわみとは荷重を受けるはりの変形量とも言えます。

設計現場ではりを用いる時は、たわみ(大きさ)を決められた範囲に設計することが求められるので、はり全体がどのようにたわむかを知ることは重要なことです。

今回も引き続き定量的にたわみを求めるために、軸線方向(x軸方向)の関数として扱っていきます。

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たわみ曲線の微分方程式

まずは、外力を受けるはりがどのように変形するかを見てみます。ここでの目的はたわみ曲線の微分方程式を導出することであり、たわみ曲線の微分方程式と曲げモーメントの関係を求めることになります。

はりの湾曲後の軸線(曲線)を「たわみ曲線」と言います。また、軸線上の一点における変位を「たわみ」と言います(材料力学における「たわみ」という用語の意味になります)。

そして、たわみ曲線の軸線方向の勾配(たわみ曲線の微分係数)は、曲線の接線と元の軸線のなす角を表しています。この角を「たわみ角」と言います。

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これより、たわみ曲線と曲げモーメントの関係を求めました(赤の下線で示した微分方程式)。ここで、右辺の分母は曲げに対する変形抵抗を表しており、まとめて曲げ剛性と呼びます。

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境界条件について

微分方程式を解くにあたり、常に考えなければならないのは、積分定数の扱いについてです。上記のノートで示すところの、最後に書いた2つの関係式です。

これらの積分定数は微分方程式を解くこと(一般解を求めること)を経てから、境界条件を用いて求めます。代表的な境界条件の使い分けは、主に下記に示した単純支持点(回転支点と移動支点をまとめたもの)固定支点の2通りです。

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たわみ(大きさ)については同様ですが、たわみ角の扱いが異なります。ここまでの内容を利用して、実際にたわみ曲線を求めてみます。

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基本的な例題

今回は方持ちはり(等分布荷重)を例題とします。せん断力線図(SFD)と曲げモーメント線図(BMD)は既に求めていますので、ここでは引用だけします。

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片持ちはりなので、境界条件は左端(x=0)のたわみ角とたわみ(大きさ)がゼロになります。最終的にたわみ曲線(微分方程式の特殊解)を求めて、問題は完了になります。

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おわりに

今回はたわみ曲線の求め方について説明し、片持ちはりの問題を題材にたわみ曲線を求めてみました。

微分方程式の話が出てきましたが、実際は両辺を軸線方向(x軸方向)に積分するという単純な作業です。ただし、積分定数を境界条件を用いて求めるという作業が追加されるので、その点だけ注意が必要です。

今回は一例だけ扱いましたが、総括としてもう少し複雑な形のたわみ曲線(SFDとBMDも含めて)についても次回で扱いたいと思います。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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