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【開催記録】 第59回 アート対話カフェ 2024/3/16(土)

今回のテーマ

今回のワークショップは「アート作品を分析的に観察し論理的に考える」というテーマで開催されました。

VTSは、ファシリテーターからの主に2つの問いかけに参加者が答えるという問答から始まります。
この問答とそれに続く対話と議論を通じて、アート作品を、注意深く分析的に観察し、論理的に考え、それを説明するというプロセスが生まれます。
そして、この方法によってアート作品の理解が深まり、「分かった!」という感動を体験することができます。


1枚目の絵

1枚目はこちらの絵を見て頂きました。
作者名や作品名などは、事前に参加者に明かしていません。

John Philip Falter『Jamming with Dad』 (1910 –1982)

参加者から出た意見

  •  ピアノを弾いている男性はジャズバンドをしていたのではないか。
    壁にかかっている写真は男性のものではないか。

  • 年配の男性がバンドの練習を邪魔しているのではない。
    若い人たちはうんざりしているような表情をしているので。

  • 若人たちは長時間の練習に疲れている。手前の男の子は、年配の男性にピアノを取られている場面なのでは。

  • 年配の男性の家。隣の男の子が男性の息子。
    もし、ピアノの前の2人が他人であれば、若い男子は避けるのではない。
    息子たちのバンドの練習を邪魔する父の絵ではないか。
    奥の女性はうんざりしている目をしている。年配男性の奥さんなのではないか。

  • 古いテレビがある。この絵も古い時代に描かれたもののはず。

  • 奥の女性は、年配男性の奥さんではない。服装がフォーマルであるため。
    このバンドのマネージャーなのではないか。

  • ジャズ教室での場面ではないか。部屋が広く、機材も揃っている。
    女性の服装も普段着ではない。事務や秘書の方なのではないか。
    年配の男性は、講師。

  • 年配男性と、若者は初めて会った場面ではないはず。
    若者は目を瞑っていたりする。これまで何回も割り込んで邪魔しているのでは。 手前の男の子は席を譲ろうとはしていない。

  • 男性のピアノを弾く手が不自然。興奮して、急に弾き始めたのではないか。

  • 年配の男性と女性はフォーマルな服装。
    この2人は夫婦で、これから出かける予定だったのではないか。
    テレビがあるので、ここは居間だと思う。
    女性は、男性に待たされて不機嫌になっている様子。

  • ピアノを弾く男性は、幸せな歳を取っているように見える。
    この絵の中では、誰一人怒ってはいない。平安に楽しく生きてきたのでは。

  • 中年男性はとても上手な人。若者はそのうまさが分かっていないのでは。
    奥の女性は、感心しているような表情にも見える。

  • この状況は、1時間以上長く続いているのではない。
    後ろの男性2人が寝ている。寝るまでは1時間以上かかるはず。

  • 手前の男の子は、この姿勢で30分も長く座り続けられないと思う。

  • 手前の男の子は10代に見える。隣の男性の孫の可能性もある。
    後ろの男性陣より、もっと年下に見える。

  • 後ろの写真にピアノはない。男性が所属していたバンドではないかもしれない。



2枚目の絵

2枚目の絵は、こちらの 作品です。こちらも絵に描かれていることから、それぞれ意見を展開して発言していただきました。

渡部満 『Naoko - Playing in Bosch’s Last Judgement 』(2012)

参加者から出た意見

  • 女の子は洗脳されている。
    女の子が生き物を潰したりしているのは、バッグの中にいる本を読んでいる男性が、女の子を唆しているのでは。

  • この絵の中では、残酷なことが起きている。手を切られたり、檻に入れられていたり。左手で持っているものも怖い。

  • 「周りの大人からの期待」と、「本当の自分」を現している絵ではないか。
    右目と左目が違う。左目が大人の方を見る目。右絵は自分の内面を現す目。

  • 神様から地獄から逃げ出そうとしている絵ではないか。

  • 日本のアニメの世界が、西洋の絵画の世界を圧巻している。
    西洋のアートを握り潰している

  • 獣を右手で潰している。左手の怪獣は足掻いてはいない。
    女の子はこの獣たちに対して、敵対心を持っている訳ではない、中立的な立場なのでは。

  • 目が真っ直ぐこちらを向いているので、女の子とは地獄のことを考えているように見える。

  • 絵の中の、オレンジの色に意味があるのでは?

  • この絵を見ていると、自分の子供の頃を考えると、残酷なことをやっていたな、と思い出した。人間は本来、暴力や攻撃性を秘めている、というメッセージがあるのではないか。


最後に

VTSはアート作品を見るだけでなく、参加者の思考力やコミュニケーション力の向上に貢献する素晴らしい教育手法です。

またのご参加お待ちしております!

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