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学識はどこまでビジネス現場に通用する?

以前、コンサルタントの世界での「学歴・職歴」の重要性を書きましたが、今回はそれに対して出てきそうな疑問をまとめてみました☺️


コンサルタントに関わらず、「学歴」は役職や出世などのポジション争いに大きく影響が出ることに異論を唱える人はいないと思います。

特に人の出入りが激しい外資系ではそれらは顕著に現れます。学歴がキラキラしていれば、業界未経験でもいきなり管理職として配属、という事例もザラにあります。

その一方で豪華絢爛な履歴書でありながら、全然仕事ができない上司も何度か目撃しました。「頼むから現場に来ないでくれ、評判が下がるから」という事業部長すらいたこともあったなぁ😅
乱暴な言い方をすると「頭はいいけど、使えない」方たちです。

こういった経験をしてしまうと、果たして本当の意味で学識って実ビジネスにどこまで影響があるのだろうか?頭脳労働とはいえ教科書のような学問って本当に必要なんだろうか?と勘繰ってしまいます。

本日はサムネにあるよう、ビジネス学識の代表であるMBA(Master of Business Administration)にあてはめて考えていきたいと思います。それではよろしくお願いいたします💨
(*私はMBAの和訳を経営管理学修士と表現してます。)

学識は何の為にある?

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学識とは以下のように定義されています。

【学識(がくしき)】
身についた学問と識見。学問上の識見。

学問上の識見ということでやはり、教科書で身につけた知識といって間違いなさそうです。
それでは教科書の知識が必須になる職種といえばどういうものが想像できるでしょうか?

私は最初に医師・薬剤師が浮かびました。薬理作用から解剖学など、これらはとても「まずは現場で習得せよ。OJTだ!」とは言えません。医学・薬学は学識があって初めて現場に立つ資格がある仕事だといえます。士業と呼ばれるもの全般も同様ですね。

それでは、MBAにおける経営学はどうでしょうか。

学識でもっとも左右されるMBAの学問として、アカウンティングとファイナンスがそれにあたると私は考えます。実ビジネスにおいてアカウンティング&ファイナスは金融戦略や経営財務に直結するものであり、学識の土台がなければミスリードどころか一発アウトも考えられます。
アカウンティングは過去や現在を分析するために必須ですし、ファイナンスは将来どのようにビジネス展開をしていくか、どのような戦略を立てて成長していきたいのかを考える重要度の高い学問です。どのくらいの人件費・インセンティブを捻出できるかで人事戦略にも密接に関係し、研究開発費については言わずもがなです。

MBAの授業ではケーススタディについての討議が活発に行われます。その中には財務諸表の観点から戦略的撤退をするという結論に至った企業事例もありました。

「選択と集中」と同様に「撤退」も重要な経営判断です。サンクコストや損切りの意識が如何に重要かもここで学びました。

こう考えると最初にあげた医師・薬剤師の世界でいう禁忌肢が経営の世界にもあるということがよくわかります。(禁忌肢とは、試験問題の中において一定数誤答した場合に即座に不合格になる選択肢を意味する語です。すなわちそれ以外がパーフェクトな回答をしたとしても 禁忌肢を選んだら不合格になってしまうということを指します。)

ファイナスの観点からいうと、経営において禁忌肢が存在することに異論はないと思いますし、営業においても同様のことがあるでしょう。

すなわちビジネスにおける学識は必ずしも正解に導いてくれるわけではないが、確実な失敗を回避できる為に存在すると言えるのではないでしょうか。


困った時に立ち帰れるフレームワークのありがたみ

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型を知ることで、初めて「型破り」になれる
型を知らないのはただの「形なし」
                        十八代目 中村 勘三郎

私の大好きな言葉です。歌舞伎という伝統的様式美に染まった世界であっても常に型破りであるための基本姿勢には感銘をうけます。

ビジネスにおいての型はやはりフレームワークが浮かびます。

SWOT、7P、3C、PESTLE、VRIO、EPRG、BMC、PPM、5フォース...
マーケティングだけでも幾つ覚えさせられたことでしょう。中にはもう思い出せないものもあります😅
ビジネスの現場でこれらを毎日使うかというと、全くそんなことはありません。しかし、ここぞというシーンで助かる時も多く存在します。

わかりやすくいうとインダストリー軸で区切り、課題解決を試みる時などです。フレームワークはどの業界でもある程度の範囲をカバーできるため、新規事業や異業種にアプローチする時に大変役に立ちます。ある程度の上層部になると知らない人はいません。役員クラスにプレゼンする時は必ずフレームワークを共通言語として何枚か入れておくことと便利です。

解のないビジネスの世界において、フレームワークで頭を整理できることは本当にありがたいです。私自身、基本に立ち返るることで何度救われたか数えきれません。正攻法こそ最強のストロングスタイルです。


学識(理屈は正しくて)も現場では負けてしまうという矛盾

現場に学識を持ち込む時、気をつけなければいけないことがあります。それは現場は基本的に感情論で動いているということです。

予想通りに不合理というベストセラーの本を読まれたことがあるでしょうか。伝統的な経済学においては、たとえ不合理な選択をしたとしても、「市場原理の力」が働いて合理的な選択に押し戻してくれるという原則があります。しかし、「そんな綺麗に物事は消化されませんよ。」という残酷な真実をこの本では警鐘してくれています。


どれだけ練られた営業戦略であっても営業マンがヘソを曲げれば机上の空論ですし、労基法を遵守した人事戦略であっても現場でストライキがおきてはどうにもなりません。

私自身、MBAを習得したばかりの頃は、正論・論理的なことばかりを言ってしまいがちになり、人を追い詰めまくって現場がうまく回らない時がありました。顧客や上司、部下がどの段階にいるかを見極めて話さないと学識が逆効果になる時があります。

人間は感情に支配されている生き物です。その人が理解できる速度と器でしか許容はできません。緻密に作り込んだ資料よりも綺麗なスーツで行くことで成立する商談もあることがそれを証明しています。

現場の感覚と整合が取れない学識については拘り過ぎないほうがいいことを悟りました。
とはいえ、現場に媚びすぎて、学識に基づいた戦略デザインを疎かにしては本末転倒です。譲るべきところは譲って、護るべきところは護らなければいけません。

「理屈で勝つな、実利で勝て」というのが斬った張ったのビジネスの世界。戦略プロセスが正しいのは当たり前で、更に先まで大石内蔵助を演じる役者でありたいものです。

本日のまとめ

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MBAを基準に学識は現場にどこまで役にたっているのかを色々考察させていだきました。
学識がなければ勝負の土俵にあがれない。しかし盲目的に信じすぎると痛い目にあってしまうのが実際だと思います。

「人間は感情に支配されている生き物、
だからこそ学問は感情に惑わされないための武器になる」

これを私の結論とさせていただきます。

知識の修得だけではなく、実務で使える「実践力」を身につける。私が尊敬し崇拝する先輩たちは学識と現場力の比率を状況に応じて配合できるスーパーマンばかりでした。
自分もその姿に少しでも近づけるように日々精進する毎日でありたいと思います😊😊

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

KCC


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