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桜の花と深呼吸

*空き家リノベーションと開業きっかけのお話

桜が咲く頃は、いつも思い出します。
25歳の時に経験した3ヶ月の長期入院から退院した日のこと。母が、桜がまだ残る道を通って自宅まで帰ってくれました。病室病棟以外を、自由にどこにでも動けることのありがたさ。3ヶ月の間、病院という温室にこもっていたから、外に出ることの恐怖も感じつつも、窓を開けて走る車の中で、春の優しい香りに包まれて、ただただ深呼吸できることに嬉しさを感じました。あの日のあの空気のにおいは一生忘れられません。

桜の花とゾウさん(浜松市三ヶ日町)




いつ倒れるかわかりません。
入院するかもしれません。
突然動けなくなるかもしれません。

そんなことを頭の片隅に置きながら
私は日々過ごします。
(嘘や!自分が一番忘れてるやろ!おい!
って、家族や仲間からツッコミされそうですが…。
ちゃんと覚えてますよ。えへ。今日も、身体が痛くて眠れなくて。この記事を書いています。)

25歳の時に、体が突然動かなくなって
難病と宣告されました。
病名は、全身性エリテマトーデスとシェーグレン症候群の合併。

当時、日本でも珍しかった膠原病専門医師は、
「数値が異常に高いね。大変だ。でも今すぐ死にはしないよ。中には長生きしている人もいるからね」(ん?短命ってことですか?)
「ずっとこの薬さえ飲んでれば、大丈夫。でもこの薬を飲む限り子供を産むことはできないよ。」(ん?子供産めないってことじゃん)
淡々と私にお話してくれました。
お医者さんって優しい言葉で、ストレートに現実を突きつけるんだなぁと思いました。

一人旅だって、仕事だって、結婚だって、
色々やりたかった自分の目標が、
全て思い通りにできなくなってしまったと宣言された日。自分の現実とこれからとに
強制的に向き合う時間がスタートした25歳でした。

お出かけには車椅子が必須アイテムの頃

あれから、13年。
少しだけですが
見えてきました。
私らしい生き方。
診察室でわんわん泣いたあの時と、
それからの経験と想い。
それをカタチにしているのが
合同会社coco-Rinなんです。

*********

「何かやりたいことがあるなら、
やればいいよ。一緒にさ。」

coco-Rinで働いてくれたり、
働きたいと言ってくれる人、
ナンパする人に言う決まりセリフです。
(この言葉を聞いたら、私に捕まった人です。)

先にも述べましたが、
私自身が
1人で生きていくことが難しいから。
世に言う、就職という形にはそぐわない体になってしまったから。

私だけじゃない。
同じような想いの人はたくさんいるはず。
そんなみんなが集って
好きなことに挑戦できる場所を
作ってみたかったんです。
それが合同会社coco-Rinです。

1stステージを支えたcoco-Rinズ。


coco-Rinを作り始めた最初のきっかけは、
社会活動化の瀬川映太さんによる
「産前産後のママ達の寄り添う場所がら日本に少なすぎる!日本中に作りませんか?」
という呼びかけを知った頃に、私も居場所を作りたいと思ったタイミングがドンピシャだったからです。

産前産後の人もそう。
病気持ちの私だってそう。
1人で生きてくなんて無理無理ですよ。

無理やり過ごすのが、1番いけん。(いきなり広島弁)

そもそもおかしいじゃろ。
一人で悩まんといけんのん?
そんな状況をどうにかせんといかんじゃろ。
(広島人熱い人あるある)

オープン当初に描いたcoco-Rinイメージ

『病気を持っていても。
赤ちゃん連れてでも。
1人でも、
気軽に行ける場所』

ただ、
『誰かに会えたり
愚痴を話せたり
リラックスした深呼吸ができる場所』

自分の住む町に
理想の場所が
欲しいなってずっと思っていました。

三ヶ日の湖


今から10年以上も前ですけど
三ヶ日町の夫と結婚した頃。
同じ世代の嫁友達&お姑さん達に
「普段どこに行くの?」と聞くと、
町を出て遊びに行く(息抜きをする)のが当たり前の空気感が流れていました。

さらに、旦那さん達は、
会合や集会が多くて
家にいないことが多くて。
農業関係や地域の活動が多くて
何かしらの集まりがハイペースである!
(コロナで軽減したけど)
これは地域のつながりの強さでもありますが…

嫁いだばかりの
女性達にはそんな機会があまりなかったんです。
自分も外に出たいなって思いながらも
どちらかというと我慢している雰囲気が…

「この街には何もないから」
と言って。

他所者の私からしたら、
住んでる町があるのに、
もったいないなぁって。
車移動が苦手な私としても、
いつでも逃げ込めるような場所を
できれば三ヶ日に
自分がいつでも行きやすい場所が欲しかったんです。(究極の自己都合です!!)

ないなら作れば良いね♫

そんな理想郷の話をしたら、

「それ素敵!」って、
みんなが欲しい欲しいと言ってくれるわけですよ。お世辞だったかもしれませんが、単純細胞の私は鵜呑みにして、coco-Rinを作る活動がスタートしたんです。

ちょうど夫の育った家がが空き家でした。
これはチャンス!
お願いして改装をスタートしました。
その頃の家族は、本当に今のcoco-Rinができるなんて思っていなかったでしょうけど。
私には見えてました!想像は自由ですからね♫

空き家だった頃。めちゃくちゃ普通の家でした。
舞台美術の経験を活かして、突貫工事!?


1年半ほどは
1人で改装していきましたが、
なかなか改装が進みません。

そこで!地域の仲間を誘うことにしました。
仲間がほしいなー
って言いふらしていたら

子供達が思いっきり動き回れる幼稚園作りたいな。
働きたいけど、まだ子供達との時間を優先したい!
パンを焼く技術があるけど、開業って何?
姑さんに胸はって家から出る理由が欲しい!

どんどん出てくる、
地域で何かしたいと思ってる女性達w
すごい技術を持っている人達!
思ってるけど行動に移すのが難しい人たち。

すごい!
こんなにみんな素敵なのに!
もったいないですよ。

なので、ナンパです。

「何かやりたいことがあるなら、
やればいいよ。一緒にさ。」

「やれること、作ってみようよ。
フリーランスの開業届け出してみようよ。
フリーランスが難しければ、coco-Rinのスタッフとして働けばいいじゃんね!」

と。


そんなこんなで
今のcoco-Rinの働く仕組みがスタートしたんですよね。

フレンチシェフによる指導

私自身がやりたかったのが農家民宿だったのと
最初に集ったメンバーが
飲食に特化したメンバーだったので、
農家民宿+カフェとして、スタートしました。

手探りだけど
みんなの力で生まれた場所。

今のcoco-Rinは
そこに集った人達で
創り出した存在なんです。
なので、そこにいる人
そこで働いている人の事情や状況によって
coco-Rinという形はどんどん変化するんです。

面白いと思いませんか?
そんな会社があったら。

春です。
2023年4月20日に
coco-Rinは3周年を迎えます!
さぁ、深呼吸していきますよー!

*******************
合同会社coco-Rin
2020年農家民宿カフェcoco-Rinとしてスタート
「好きなこと、地域への想いを仕事にする始発駅」を合言葉に、
さまざまな事業に挑んでいます。

代表:久米ゆき
1984年 広島県呉市生まれ
本業:フリーランスのデザイン業(たぶん)




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