批評・建築・『松濤美術館』・白井晟一

・形態:建築
・場所:渋谷区松濤
・年:1981年開館

・目的:美術館
・方法:楕円をモチーフにした平面、4階建て、中心に吹き抜けをつくることによる採光、階段・電灯・壁・鏡・調度品等のデザインの統一等

・目的の新規性:特に見受けられなかった。
・方法の新規性:特に見受けられなかった。楕円をモチーフにした平面図はヨーロッパのルネサンス期等の建築に見られる。吹き抜けによる採光は、案内の1ページ目に記載されているように敷地条件から決定されている。館内デザインの統一はスペインのガウディ等の建築にも見られる。

・目的-方法の合致性:やや低く感じられた。美術館という施設に対して楕円のモチーフの必然性が感じられず、また吹き抜けによる採光は美術品の展示には不向きなため、むしろ美術館という機能を阻害しているように思えた。また館内デザインが統一されていることから、展示可能な作品が限定されるようにも感じられ、展示の自由度を低めているようにも思われた。一方で、4階建てであることは美術館としての機能に対して十分であるようには感じられた。

・社会的インパクト:低く感じられた。目的・方法の新規性の低さや合致性の低さから、建築作品としての社会的インパクトは限定されているように思われた。

・その他の気づき:各階に設置された楕円や長方形、円等の様々な形態の鏡は、不思議な感覚を呼び起こした。

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