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批評・写真・『M/E』・川内倫子

基本情報

・形態:写真
・場所:東京オペラシティ アートギャラリー
・年:2022

概要

表題作『M/E』を中心とした、写真や動画の展示。
表題は「Mother Earth」の略であり、地球や宇宙、それらとつながった日常の様子等が被写体になっている。

既存の批評

・「神話的ともいえるような次元と、具体性を帯びた触覚的な世界とが、写真という媒体を通じて共振しあっている」(https://artscape.jp/report/review/10180484_1735.html、2023/1/22閲覧)
・「彼女が表現しているのは[...]あらゆる生命の営みであり、その尊さであるということ。もっと言えば、人新世の世界を写しているのではないかと思い至った。[...]自然と人工物とが共存する姿を捉え、それを示そうとする。」(https://artscape.jp/report/review/10180498_1735.html、2023/1/22閲覧)
・「普段私たちが認識している意味の定まった世界の隙間にまるで羊水のように満ちている『無限の連なり』の世界を、改めて私たちに思い起こさせる。」(図録、p.196)
→本批評の立場は、基本的に第一のものと同じである。

目的

日常で見ている風景が、地球や宇宙とつながっていることを示す。

方法

被写体として、日常の風景と地球や宇宙が感じられるものを選ぶ。
両者を並置して展示する。

目的の新規性:やや高く感じられた。

これまでも同様の言説は図録に記載されている佐治晴夫の著作等には見られてきたように思われるが、改めて提示する新規性はあるように思われた。

方法の新規性:やや高く感じられた。

日常の風景や地球・宇宙に関連したイメージは、これまで個別に提示されてきたようには思われるが、それらを同時に並置した方法は新規性があるように思われた。

目的-方法の合致性:非常に高く感じられた。

目的に対して、方法が完全に合致しており、無駄な要素が無いように思われた。

社会的インパクト:高く感じられた。

目的・方法の新規性やそれらの合致性から、社会的インパクトは高いように思われた。
一方で、本展示はそのタイトルと、はじめに掲示されたステートメントの言語的精度が高いために、そのコンセプトから外れた解釈の余地が少なく、展示コンセプト以上の鑑賞者自身による新たな気づきが生まれづらいようにも思われた。それが社会的インパクトをやや弱めた可能性がある。

その他の気づき

人間は現在、宇宙の物質の内の4%しかまだ知らない。

参考

・トップ画像引用源
https://www.operacity.jp/ag/exh255/
(2022/1/22閲覧)

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