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とあるスポーツチームフロントによる回想録【獅子吼】vol.4 初めてのホームゲーム

私がチームに入り初めてのホームゲームを迎えたのは2017年12月9日のこと。
そもそもホームゲームというものを経験したことも無く、この時は私がゲーム運営には全く携わっていませんでした。広報・営業として活動していて運営部分は完全に他のスタッフに任せていました。

とはいえ営業として何かホームゲームにお役に立てることは無いか?そう考えて地元三重県の「おにぎりせんべい」をホームゲームで提供いただけないかと思い伊勢に走りました。
いきなり会社の総合窓口に電話したにも関わらず、担当になっていただいた広報室の方のお子さんがバレーボールをやっていたというご縁もあり、快くご提供いただけることになりました。

その時のイベント告知が以下です。

今、改めて見ると告知の仕方がなってないですね(笑)
全く中身が伝わってこないですね。今見てみるととても恥ずかしいです。

選手たちへのVリーガーとしての心構えの指導

ホームゲームを迎えるにあたり、もう一つ重要なことがあります。
それは選手たちに対する自覚と責任の指導です。
Vリーグを経験したことのある選手も一部いましたが、多くが初めてのVリーグ。そして多くのスポンサーについて頂き、その責任について理解してもらわねばなりません。
そこで、ヴィアティン三重では2017年より毎年数回の選手研修会を実施しています。

これは当時の投稿ですが開幕を控えた9月に実施しました。
スポンサー全企業の名前はもちろん、業種なども全員に理解させました。
さぁこれでいよいよVリーグを受け入れる準備はできた!あとは勝とう!そんな思いでホームゲーム当日を迎えます。

ドキドキの開場

営業として出来ることはやった。あとは一体何人が試合に来てくれるのか?
楽しみでもあり、恐怖でもありました。0だったらどうしよう・・・
そもそも今日がホームゲームって一体何人の人が知っているのだろう・・・
こんな思いが胸をよぎりました。

試合当日。自分自身初めてみるVリーグのホームゲームの開場。
これがバレーボールの試合かぁ。あっという間の半年だったな。そんな思いの中、開場の時間を迎えました。
結果的には公式レポートの来場者数は777人。V3リーグではとても多いと協会の方から教えて頂きました。

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0だったらどうしよう。なんて本気で悩んでいた僕からすると確かに777人は大成功と言える初ホームゲームだったと思います。
その証拠にこの試合開始前に、聞こえてくるヴィアティン三重の応援チャント【三重魂】が聞こえてきた時に、中尾GMと二人でスタッフ席にいて、開始前に泣いてしまったというエピソードもあります(笑)
今まで何度も三重魂を歌っていただいて、勇気を貰ってますがこの時の三重魂はずっと忘れないと思います。

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これはサッカーのサポーターの皆さんが盛り上げにきてくれたからこその応援でバレーボール協会の関係者もこんな応援見たことない!!と本当に感激していましたし、総合型クラブの強みでした。

と同時に多くの問題も感じました。
まず、観客の1/3近くが高校生や大学生などのバレーボール部の生徒たちであること。これは何が問題かというと、恐らく動員されての来場であること。その証拠にほとんどが学校のジャージでの来場でした。ありがたいのですが、動員での集客ではいつまでも続かないと感じました。

次にホスピタリティ面。会場は三重県バレーボール協会の協力で運営していただいています。ですがウェアの支給もできていないので、スタッフと観客の見分けが付きにくい。これでは来場者の方が困った時に誰に声をかけて良いのかわからない。
オレンジのウェアを着ている人がスタッフかと思って声をかけるとサポーターさんという事も起こりました。

そして音響。体育館の音響を使っているのですが、BGMがマイクを通して流している為に音質が悪い。さらに選曲もされておらず、リーグから支給の公式音源をただただ再生している感じ。これでは試合開始までのテンションの抑揚が付かなくて惰性になってしまいます。映画でも同じだと思いますが、空気にメリハリを付けるのにBGMはとても重要な要素だと思っています。
これは色んな曲をまとめておいて順に流していく。ということでは無く、ここのタイミングでこの曲、次のタイミングではこの曲と作りたい空気に合わせて選曲をするべきだと思いました。

客席の作り込みもわかりにくい。1階席と2階席の区別しかなく、最前列と最後列に大きな視認性の差があるにも関わらず同価格の設定。
これでは、良い席で観たい方は試合開始のかなり前から会場入りせねばならず、お子様連れのお客様は来場しにくい。また遠方からのご来場となるビジターチームのファンの方は朝早く並ぶことはできない為、せっかく1階席を購入して、はるばる駆けつけたのに後列しか空いていないなんて事も起こります。

次にV3では珍しくチアリーダーがいるのが強みの一つなのに、チアを活かしきれていない。セット間に踊っていただくだけで、バスケットの様にチア主導で会場を巻き込むような応援ができるはずなのに、運営サイドがチアの活かし方を考えていないことが一目瞭然でした。

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この写真は当時、改善点として撮影しておいたものです。
チア全員が一区画にただ並ばされています。これではお客様にチアの表情を見せれませんし、一体感が生まれません。
非常に勿体無い。

などなど、上げ出したらキリが無いくらい興行と呼ぶには程遠い内容だったと思います。
いろんな事をまとめると、バレーボール協会の皆さんのお陰で何とか運営をして頂き、ご来場者様とチアリーダーのお陰でなんとか雰囲気を作って頂き、なんとか成り立ったという状況でした。

誤解の無いよう書いておきますが、これ全て自分のチームに対する反省点であり、批判しているのではありません。そもそも私自身がチームの一員ですので。

これら問題点の改善は別の機会に書いていくとして、この時ホームゲームを初めて体感して、あぁ営業・広報だけではいけない。
ホームゲームの作り込みを変えていかなければ、愛されるチーム作りはできないと感じました。
チーム側にホームゲームに対する明確なビジョンが無いからこうなるんだと思いました。
そしてここから次第にフロント会議での発言が、営業・広報に留まらずホームゲーム運営にまで口を出していくことになります。素人の意見も必要だと肌で感じたからです。少なくともバレーボールファンでは無い自分でも楽しい!と思えるものでなければならないと思うのです。

スポーツチームの運営は一般企業よりも更にセクション毎の価値観の連帯性・連続性が必要だと思います。
広報が広報だけに専念していれば良いのでは無く、全てが一気通貫に同じ考えで作り込まねばうまく動きません。これは当然一般企業でも同じではあるのですが、一般企業よりも更にダイレクトに表面化するのがスポーツだと感じました。コンパクトであるが故に尚更かもしれません。
また、toCのビジネスモデルの多くは顧客層を明確化することが非常に重要ですが、地域密着型のスポーツチームの場合はこれは当てはまりません。こういった違いについても現場で感じることができたという意味で、初めてのホームゲームでの経験はこの後に大きく影響しました。

今回は長くなってしまったのでここまで。
書き足りないのでvol.5もホームゲーム関連を書くかもしれません(笑)
長文を読んでいただきありがとうございます。
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