新規事業への融資付けについて。経営者と銀行員、それぞれの本音。
こんにちは。元銀行員 勤続10年、法人融資営業をしていた谷本と申します。
事業を大きくする中で、新規事業へ取り組みを始めたり、その際に資金が必要なことがありますよね。
今回は、今貴方がお考えの新規事業に対して、本当に銀行が融資をつけやすいのかどうか、考えてみたいと思います。
大企業と中小企業での大きな差は何でしょうか。
私は、「資金力」であると考えています。
資金力とはいわば、やりたいときにやりたいことができる力と言えます。
一般的な中小企業の自己資本比率をご存知でしょうか。
また、御社の自己資本比率はどれくらいでしょうか。
数千社の企業を見てきた私の感覚では(開きはありますが)、自己資本比率3~30%前後の会社が多かったように思います。
この数字は、財務体質が脆弱であると言えます。
こういった中でも、生き残りを懸けて今までになかった新規事業にチャレンジしたいという経営者もたくさんいます。
同時に、「新規事業への資金を調達したい。」とも考えるはずです。
果たしてそのとき、銀行はどう思うのでしょうか?
銀行担当者のほとんどの考え方としては・・
「新規事業よりも、既存事業の売上増加や利幅向上に注力してほしい。」というのが銀行員の本音です。
経営者にとってみれば、勝算があるからやりたいと思っているはずです。
しかしながら、銀行ではなかなか新規事業へは賛同してくれません。
想定しているような資金調達は厳しいことが多いです。
何故でしょうか。
融資を受けるには、返済原資がなければなりません。
新規事業のための運転資金3,000万円を調達するのであれば・・
融資額 3,000万円 ÷ 返済期間5年(60回) = 年間返済元金 600万円
現時点での「税引後利益 + 減価償却費」の合計額が、新規の年間返済元金600万円と、既存借入の年間返済金額の合計額を上回っているでしょうか。
ここが一つのポイントです。
「現状の事業だけではジリ貧だから、新規事業で利益を積み上げていきたい。」というのも経営者の本音であると思います。
これについては、私も重々承知しております。
承知しているうえで、私が経営者の皆さまにお伝えするのは・・
「既存事業の追加運転資金でいきましょう(相談しましょう)。」
新規事業より、実績のある既存事業に対しての方が、銀行は融資をつけやすいのです(直近での借入状況にもよります)。
銀行員へ正直に話してしまうと、急に対応が厳しくなったりすることもあります。
はじめから何でも話しすぎてしまうことも、将来的な資金調達に課題を残してしまうこともあるのです。
貴方が気に留めていないポイントに、落とし穴がある場合があります。
将来の議論は、ぜひ私としましょう。
その上で、適宜必要なタイミングで、上手に銀行員とコミュニケーションを取ることで、安定した資金調達を行うことが可能になっていくはずです。
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