感情的に生きられずに破滅するホモ・サピエンス
感情的であることに過度に否定的な現代ホモ・サピエンス社会
現代のホモ・サピエンス社会は「感情的」であることに対して否定的です。
たとえば「感情的」という言葉で検索してみても、「感情的であることは悪いことだ」という前提のもとで書かれたページばかりが見つかります。
タイトルに「感情的」という言葉を含む本も、そのほとんどが感情的にならないようにする方法を論じたものばかりです。
しかし、ヤギのさくらちゃんのお世話をしながらホモ・サピエンス社会で仕事を行う私の目から見ると、 現代のホモ・サピエンスは過度に「感情的」であることを恐れた結果、本来必要な範囲の「感情的」要素まで除去してしまい、自分で自分の首を締めながら窮屈に生きているように見えます。
そんなホモ・サピエンスに対して、さくらちゃんは
「生きることにくよくよ悩んだり、組織の圧力に屈して過労死したり殺人タックルさせられたり、マジあほくさいわ〜 ホモ・サピエンスくっさいわ〜ｗ うわ〜うんこ投げつけられるｗｗ ばーかばーかうんこホモ・サピエンス〜」と思ってるそうです。
「霊長類」なんていう傲慢な肩書を捨てて、ヤギさんに頭を下げたら何か得られるものがあるかもしれません。
「お、頭を下げたのは頭突きしたいってことか？」と勘違いされます。
「感情的」とは
以降では特に断りがない限り、「感情的」という言葉を「客観的な損得勘定の判断ではなく、個人の感情にしたがった状態」という意味で使います。
もちろん感情的になって常習的に暴力をふるって傷害事件を起こすようなことは明らかに慎むべきですが、殊勝にもこんな文章を読んでくださるような読者の方々であれば、そのような状態からはすでにある程度解放されていることでしょう。
以下は「別に全ての感情的な行動を抑制する必要はないんじゃない？」っていうさくらちゃんの気持ちを、お世話係である私が自動書記しただけの内容です。
別にそのとおりにするのが正しいわけでもないでしょうし、単に「そんな考え方もあるんだな〜」と思って見ていただければと思います。
ヤギの感情的な行動
ヤギはとても感情的に生きています。
とりわけ食欲に対してはあまりに貪欲で、葉っぱしか見えなくなって失敗をすることも多いです。
たとえば、お散歩中に葉っぱがいっぱいあるお気に入りの場所に近づいたら飼い主を引きずって急に走りだします。
飼い主がしっかりと押さえていなければ交通事故にあって命を落とすこともあるでしょう。
これは避けるべき感情的な行動です。
しかし、感情的に生きることで本来食べられない葉っぱを食べることができます。
たとえばちょっと高いところにあって食べられない葉っぱがあるとき、飼い主を足場にして食べます。
「どうしてもあの葉っぱを食べたい！」という強い信念がそのような常識破りの知恵を授けます。
また、ヤギにとって葉っぱを食べることは人生そのものでもあります。
これはホモ・サピエンスでいうところの、宗教を盲信した状態や、ゲームに廃課金する状態に近いでしょう。
もちろん第三者にとっては「価値のないものに人生をかけていて愚かだ」と見えるかもしれません。
でも、渦中にいる彼らは幸せでしょうがないのです。
感情的になって幸せに生きている彼らと、冷めた目で見て人生の目標が見えずに絶望して自ら命を断つ者と、どちらが幸せなのでしょうか。
松下幸之助も薦める「公の怒り」
実は、「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助も、感情的に生きることについてその著作で述べています。
指導者の条件では、かつて西ドイツの首相アデナウアーアメリカのアイゼンハワー大統領に会った時に言った「怒りをもたなくてはならない」という言葉を引用して、「優れた指導者は公の怒りを持たなければならない」と述べています。
一般に怒りの感情は避けるべきものとして見なされますが、何か大きなことを成し遂げるためには「怒り」という感情的な原動力が必要になります。
禅の心なんてものは、もう社会に価値も提供できないようなじじいばばあになったときに身に付ければいいじゃないですか。
感情的でなくなることの弊害
感情的にならない生き物はとてもあつかいやすいです。
ブラック企業や日本大学のアメフト部、セクハラおやじのもとに女性記者を無理やり送りつける朝日テレビのようなイカした組織で活躍することができるでしょう。
そして用済みになった段階で使い捨てされます。
周りに迷惑をかけたくない？
過度に空気を読む人間は「でも感情的に生きて周囲に迷惑をかけるのは嫌だ」と考えるかもしれません。
四書五経の1つ大学には
修身斉家治国平天下
という言葉があります。
私はこの言葉を「自分自身を不幸にするようなやつが、まわりの人間を幸せにできるわけねぇし、天下を治めることなんてできねぇよ」という意味で勝手に理解しています。
ちょっと肩の荷をおろしてヤギさんみたいに自由に感情的に生きてみたら、かける迷惑を打ち消してあまりあるだけの大きな価値を提供できるかもしれません。
Kyashでサポートする
