~読むアロマ~「星の王子さま」サン=テグジュペリ
物語の世界観を香り(精油)で表現する「読むアロマ」。「読むアロマ」は、思わず手に取ってしまう美しい装丁のように、イメージを香りでデザインしたもの。物語と、精油が持つ香りや働き、様々なエピソードをつなげて、オリジナルのアロマブレンドを作ります。
新旧、ジャンル問わず、好きな物語、気になる話をランダムにピックアップして、作った香りのご紹介です。
「星の王子さま」
そのことばの響きだけで、何か純度の高い、けれどちょっと儚げなイメージがわきます。フランス語の原題を直訳すると「小さな王子さま」ですので、翻訳者のかたの感性にただただ脱帽するばかり。
大人のための童話として長く愛されてきた物語。
「大人はだれもはじめは子どもだった
(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない)」
ご多分に漏れず、子供であったことを忘れてしまったおとなの一人である私は、不思議なおとぎ話の世界の、身に覚えのある現実社会(大人の世界)にいたたまれないような、恥ずかしいような、そんな気持ちになりました。
「心でみなくっちゃ、ものごとはよく見えない。かんじんなことは、目に見えないんだよ」
友達になったキツネから王子さまがおしえてもらった秘密。現代では、いささか使い込まれたフレーズにも聞こえますが、この物語が発刊された1943年という時代では、勇気のいる立ち位置だったのかもしれません。
なんのへんてつもない、ありふれたものでも、時間や手間などをかけ、関わることで特別な存在になる。
例えば、5千も同じように咲くバラの中のたったひとつや、10万ものキツネの中のたった1匹が、自分にとってかけがえのない存在になるように。
心をかけることをせずに、ただ数を集めたり、体裁を整えることだけしていくと、「何のために」が手からこぼれて「本当に欲しかったもの」を大人は忘れてしまう。
「好きな物を見つける」とか「好きなものを探す」と言うけれど、好きな物、大事なものは、時間をかけたり、気持ちを込めることで、自分で育てることができるのかもしれません。
<読むアロマ「星の王子さま」ブレンド>
・グレープフルーツ
・ユーカリシトリオドラ(レモンユーカリ)
・ラベンダー
・フランキンセンス
・ミルラ
・ローズ(ひらりと香る程度)
大人のなかの子供をあらわすグレープフルーツ。自由、ひろがりをイメージするユーカリシトリオドラ。
ラベンダーは、庭先にあるありふれたもの、そして心で見る大事なもの。
砂漠、聖なるもの、太陽の象徴として、フランキンセンスとミルラ。
そして、王子さまが愛したちっぽけな、でも特別なバラをほんの少し。
目ではなく心を使うことの大切さを教えてくれた作者に、目には見えないけれど、確かに「ここにある」美しい香りを。
そんなおもいを込めたブレンドです。
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