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~読むアロマ~「文豪ストレイドッグス」朝霧カフカ&春河35

物語の世界観を香り(精油)で表現する「読むアロマ」。「読むアロマ」は、思わず手に取ってしまう美しい装丁のように、イメージを香りでデザインしたもの。物語と、精油が持つ香りや働き、様々なエピソードをつなげて、オリジナルのアロマブレンドを作ります。

新旧、ジャンル問わず、好きな物語、気になる話をランダムにピックアップして、作った香りのご紹介です。


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いつの時代も、マンガは興味のきっかけを作ってくれる最強のツール。「あさきゆめみし」で“源氏物語”を理解した女子は数多存在します(世代w)

この「文豪ストレイドッグス」もまた、退屈な日本文学史に親近感をもちつつ、「泉鏡花!尾崎紅葉!おじさん!!」とひとり驚愕している若者もきっといるはず。


言葉のなかに、響きやイメージでお気に入りの単語ってありませんか?私にとって「文豪」もそのひとつ。なんかかっこよくて、趣きがあるところが好き。

それで言うと、この単語力でキャラクター設定の際立ち方がすごいのです。「国木田独歩」「芥川龍之介」「与謝野晶子」というネーミングや、それぞれが持つ特別な能力(異能)名の「人間失格」「羅生門」「罪と罰」など、そのインパクトの強さはバトルストーリー用に作られたよう。「異能力、人間失格!!」って言われたら、もう絶対負ける。


舞台の横浜・みなとみらいエリアの風景や、歴史上の人物たちは、実際と似て異なるものとしての振り幅が絶妙。「知ってる」から面白くて、「違う」からワクワクする。リアルとフィクションのおいしい相乗効果!ファンにはたまらないですよね。


個性派ぞろいの中で主役の中島敦くん。彼には子供のころに叩き込まれた強烈な自己否定のトラウマがあります。文豪名言あふれるなかで、敵対するライバル、芥川龍之介が言った言葉。

「なぜなら、苦しめる過去の言葉と貴様は、本質的に無関係だからだ」

「あなたはこういう人です」「○○だからダメなんだ」と、他者のフィルターを通して刷り込まれ、自分自身と思い込んで疑いもしなかった、そういった言葉とあなたはまったくの別物だ、と。

そして、異能力である彼の中にいる「獰猛な虎」は、欲しいとも思わなかった、彼が存在してはいけない理由、苦しみでしかないものだったけれど、自分の一部として受け入れたことで、ずっと欲しかった「強さ」を手に入れていきます。

自分の内側と外側。境界線はわからない。だから意識してみてみる。


<読むアロマ「文豪ストレイドッグス 武装探偵社」ブレンド>

・レモン(宮沢賢治)
・ローズマリー(国木田独歩)
・ブラックペッパー(江戸川乱歩)
・プチグレン(谷崎潤一郎)
・ローズ(太宰治)
・ラベンダー(中島敦)
・ミルラ(与謝野晶子)
・サンダルウッド(福沢諭吉)

中島敦は主役にも脇役にもなれるラベンダー。語源に「洗う」という意味があり、「すべてを洗い流す」から。

太宰治はローズ。人たらしの彼は、トゲを持つみなの憧れ。側に近づこうとする人を傷つけ、自分自身も傷つける。

頭脳派で武闘派、そして理想をかかげるロマンチストの国木田独歩はローズマリー。頭をクリアにするシャープな香りと裏腹に、小さなかわいい花をつける植物。

異能集団の中で唯一の一般人江戸川乱歩はブラックペッパー。常識やルールを突破するパワー、スパイスの様なクセがある。

与謝野晶子はミルラ。聖書に出てくる「東方の三賢者」のお話では、ミルラは「医者」のシンボル。心や体の傷口を癒す。ミイラの語源説もあり。

谷崎潤一郎はプチグレン。現場を支える裏方の達人。オレンジの花からとれるネロリ、実からとれるオレンジに比べ存在は薄いけれど、枝葉から抽出されるこの香りはラベンダーよりもリラックス効果が高く、安全性も抜群。

純粋でパワフルな宮沢賢治はレモン。1本の木からたくさんの実がとれる生命力あふれる植物。実=子供の意味もあり、天真爛漫な彼にぴったり。

そして、探偵社社長の福沢諭吉はサンダルウッド。別名白檀は東洋の精神性のシンボルであり、大地にしっかり根をはる木(心材)からとれる香り。目指すものと屋台骨。


選択理由は違うのですが、前述の読むアロマ「人間失格」ブレンドと3つ香りが重なったのも、また興味深いところです。

自分が何者か探しているストレイドッグスに友愛の印を。

そんな思いを込めたブレンドです。

#マンガ感想文 #読むアロマ #アロマセラピー #文豪ストレイドッグス








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