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#相撲

ラストスタンド・ヨコヅナ

 足元から広がる土の感触、あの場所程ではないにしろ、馴染む。幾年ぶりの土だ。かつての横綱、黄龍はこの場所を懐かしむ。だがここはテスト会場。彼に相応しい場所ではない。だが彼にはもう一度、最初からやり直す意味があったのだ。

 あらゆる産業、スポーツがロボットになり変わられた現代。無論、相撲も例外では無かった。様々なギミックを内包した相撲は武道ではなく娯楽として昇華されていくこととなる。

 神事とし

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力士達の黄昏《シコナロック》

力士達の黄昏《シコナロック》

 7度目の破壊の後、若き審判者の血大地を染めし時、神聖なる力士が土俵を裂き審判を下す。
ー土俵文書第8章2節よりー

 両国国技館…地下666メートル暗黒相撲闘技場。7度目の大破壊《オスモウインパクト》により死亡した観客は通算2万7千人に登り、生き延びた力士も僅かに12人となった。これは全盛期の1/30である。

 だがそれは問題ではない。暗黒相撲闘技場に生きる者にとっては相撲こそがただ唯一の真実

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