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Thinking, Fast and Slow(ファスト&スロー)上

Thinking, Fast and Slow ファスト&スロー(上)
あなたの意思はどのように決まるか? (ダニエル・カーネマン 著)

あなたの意志はどのように決まるか
利用可能性ヒューリスティック:直感的思い出しやすさ。

これまでの社会科学
1 人間は概ね合理的である
2 人間が合理的から逸脱するときは、恐怖・愛情などの理由で説明がつく
(エラーが発生するのは認知装置による原因)

システム1:早い思考(直感的な判断)
システム2:遅い思考(熟考)

システム1(fast)
自動的に高速に働く。努力は不要。自分からコントールする感覚はない。印象。システム2の判断の材料にもなる。動物的先天的な能力。
しかしシステム1ではバスアスがかかるという欠陥がある。通常と異常を検知する。一部の情報を全てであると誤認する。難しいものを簡単なものに置き換える。

例)声を聞いて敵意を感じる。怖いものを見て顔をしかめ面をする。1+1を応える。

システム2(slow)
頭を使わなければ処理できないもの。困難な知的活動。システム1を調整する。システム1の監視の働きや修正を行うこともある。

例)2桁の掛け算など

注意力
注意は限度額が決まった予算のようなもの。
同時にこなすことは限度がある。努力せずに行えるものに限られる。

システム1とシステム2の相互作用
・システム1から送られてきた情報をシステム2で受け入れる。
・システム1が困難な場合はシステム2が呼び出される。最後の決定権はシステム2が行う。自動反応と意志のせめぎ合い。(無理に注意を向けようとすることもある)
・システム2が忙殺されているときはシステム1が権力を持つ。(常に計算している状況や、余計な心配を抱えている時など)

人間の知性研究(連想の原則)
・類似
・時間と場所の近接制
・因果律

連想
・直感的な働きとして連想が起きる
・架空の人物に嘘をつく実験の場合、石鹸よりもうがい薬を選んだ。

認知容易制
・慣れ親しんだものは直感で止まる。
・認知が容易なときは直感を信用する(あまり深く考えない)
・読みやすい印刷を見た問題用紙ではミスが多く、読みにくい印刷を見た問題用紙ではシステム2が稼働したため正解率が高かった。
・認知しやすい場合は気分が良くなり、認知しずらい場合は苛立つ。

結論に飛びつく
・システム1は信じたがる(都合の良いイメージを思い浮かべる)
・ハロー効果(人の一部分が好きな場合、知らないのに全体的に好きになる)
・判断に必須の情報が欠けていても、自分が見たものが正しいと思いこむ
・同じことを言っていても表現によって結論が変わる

常に危険を判断
・危険を察知するメカニズムがある
・常に自分にとって安全かどうかの判断が下されている

少数の法則
・少ない情報からパターン化したがる
・小さい標本の信頼は錯覚につながる

アンカリング効果
・事前の情報に判断が影響を受ける
・保険会社が保険の上限を設けようとしているが、上限が高くなると本来はもっと少ないはずの保険金が釣り上げられている可能性もある。

平均への回帰
・最初によいスコアで、次が下がるのは平均に回帰しているだけ
・回帰は見落とされやすい。
・2つの変数の相関が不完全な場合は、回帰が起きる(頭の良い女性は頭の悪い男性を選ぶなどは、因果関係はない)

自信過剰
・少ない情報であっても自分の判断を過信しやすい
・原因をわかった気になるが、うまくいっているときは良い方に錯覚する
・同じ情報を二度評価すると異なる結果になることがある
・人工的なものよりも自然なものを直感的に選びやすい(有機物など)