見出し画像

台風一過。

台風19号が過ぎ去り、日本列島は大変なことになりました。多摩川や手取川の氾濫なんて聞いたことがない。台風の大きさを物語っていますよね。亡くなられた方々には心よりご冥福申し上げます。

去年のこの時期、大型台風が大阪南部。つまり私のご実家付近を直撃したのだった。関西空港では貨物船が橋に直撃したり、車がころころ転がったあの台風です。

いや~。大変でした。大阪北部の地震に続いて台風ですもんね~。世紀末が近づいているのかしらん?去年の大阪は天災で続きでございました。(えらいこっちゃ)


さてさて、去年の台風。どえらい騒ぎでございました。停電、暴風による瓦礫の飛来、到来、ただいま参上!!てな塩梅。我が家もカーポートの屋根は飛んでいくわ、人口芝はめくれて、あっちゃこっちゃに飛んでいくわの大騒ぎ。


台風の風が一番強かった時に、オカンが怪しげな格好で、台所に立っていた。ん~。例えるなら、野球の内野手がボールが飛んでくるのを今か今かと待ち構えているような恰好。

画像1

(こんな感じ。私は絵が死ぬほど下手なので後は皆さんのご想像にお任せします(笑))


「オカン何やってんの?」と私が聞くとオカンは、格子窓の外を凝視しながら
「なんかあったら、すぐに家から飛び出さんとあかんから、こうやってスタンバってるねん!」と真剣な表情で言うのだった。(この人は独りで逃げる気満々)
「そうか、がんばりや」とオカンに声をかけて私は、趣味のカレー作りにいそしんでいた。


するとオカンが突然「あーーーーー!!」っと奇声を上げた。


「どないしたんや?」と私が聞くとオカンは窓の外を指さして


「飛び出し注意の看板が、飛び出していきよった!!!!」


と、大慌て。


電信柱に括り付けられていた、飛び出し坊やが風で外れ、飛んで行ったのだそうな。


それから、オカンは
「あーー電線が絡みよった!!!」
「あーーー。電線にいったん木綿みたいな、ふんどしみたいな布が絡んでる~~!!!!」
「あーー。○○さんちの自慢の花壇が飛んで行ってる~!!!」
と、外を見ながら大騒ぎ。


ホントに家全体が揺れるほどの大風でございました。台風が少し収まり、家を出るとわらわらとご近所さんたちも外に出てきていた。家の前にはどこかの家のといやら屋根瓦やらが散乱していた。


道路っぱたで、近所のおばちゃんたちの緊急井戸端会議が開かれた。もちろん、うちのオカンも参加しておりました。


「いや~。たいへんやったな~」


から始まった井戸端会議。笑顔で話すおばちゃんたちの言葉のはしばしから暗黙のけん制がバチバチ飛び交う。


「うちも何らかしかの被害があるのやから、おたくの瓦が飛んできたとか、後で文句言うなよ!!」


的な暗黙の了解を取り合っているのだ。


私は後方でニタニタ笑いながらその様子を眺めていた。


ふとオカンの車に目をやるとオカンの車がベコリとへこんでいるではないか。車の傍らには、明らかにこの瓦が飛んできて車をへこましたのだな。と見て取れる瓦がポロリと転がっていた。それを見つけた、オカンと、近所のおばちゃん。


あからさまにどこの家の瓦かはわかるのだが、つい先ほど暗黙のルールを交わしたばかりである。


近所のおばちゃんは
「あーーー。よかった。瓦に名前書いてなくて。ほんま良かったわ~」
と、半笑いで言うのだった。


もうしゃーないか。と思っているオカンは、
「悪いの台風やさかい。言うていくとこないわ。」
と、笑顔で返していた。さすが、大阪オバハン連合。無敵な会話やな~。と感心しながら、私は独り、うちのカーポートの屋根も名前を書いてなくて本当に良かったな~。と胸をなでおろすのだった。


その夜。「停電で冷蔵庫あかんからこの肉食べてーな。」とオカンの車に飛来してきた瓦の主らしきおばちゃんから、「超高級松坂うし」のステーキセットをいただいた。


こうやって、ご近所ネットワークは繋がっているのね。とまたまた、感心するのでした。


大阪おばちゃん連合井戸端会議恐るべし!!(笑)

日が明けて、大型台風が過ぎ去った次の日のことでございます。

台風で恐怖の大風を体験した翌日の朝。台風一過。まさに青天。すがすがしい朝でございました。朝目が覚めた私は、ベッドから起きて寝ぼけ眼でリビングに向かった。


リビングに行くとオカンがなにやら神妙な面持ちで、腕組みをして窓の外を眺めていた。こんな感じ。

画像2

「どうしたん?」と私がオカンに訪ねると。オカンは無言で窓の外を指さした。
すると、一台の車がエンストして道をふさいでいる。その車の周りには人だかりができていた。エンストしている車の周りの人だかりは、何やら一生懸命車の修理をしていた。

画像3

オカン「あの道ふさいでる車、おじいとおばあが乗ってんねん。あのエンストしてる車が邪魔で赤い車出られへんねん。」


なるほど、エンストしている車のせいで、赤い車が立ち往生している。しかも赤い車のある道路は、その一角の住宅街唯一の出入り口になっている。つまり、エンスト車がどうにかならないと、そこの住宅街の人たちは一切車で出かけられない。


オカン「あの車の修理してる周りの人おるやろ。あれ赤い車の兄ちゃんとか、通りすがりのバイクのおっちゃんらやねん。みんなで、おじいとおばあの車修理してはんねん。お母ちゃんちょっと行ってくるわ」


オカンはいても立ってもいられないと言うように走って表に出て行った。
窓の外を眺めていると、オカンがエンストしている車に近づいていった。なにやら、車の修理している兄ちゃんと話をしている。


それから、すぐに車のエンジンがかかりエンスト車は走り出した。オカンの出番は全くなく、その場はお開きになった。ややあってオカンが帰ってきた。


オカン「おかあちゃんいったら、おばちゃん、もう車動くさかいもうええわ。てゆわれてんけどな、せっかく行ったんやから思てずっと見ててん」


知っております。私はここでずっと一部始終を見ていたのですから。


オカン「なかなかみんなええとこあるやん。こんな時は助け合いやね~」
と感心していた。


私が用事で駅の方に出ると、体が完全にくの字に曲がり切ったおじいが、家の前に散乱している瓦礫を台車に乗せようとして四苦八苦していた。すると銀行員のような制服を着たスカート姿の女性が、「おっちゃん、この瓦礫どこやんの?」と、おじいに話しかけていた。


おじいは急に話しかけられて驚いた様子で、しどろもどろに「いや、そっちの方にぶちまけてもろてたらええんやけど」といって、自分が瓦礫を集めているところを指さした。


するとその女性は、「わかった、わかった、ここやね。」といって、スカート姿だというのに台車で瓦礫を運びはじめたのだ。


我が町もなかなかすてもんじゃないじゃないですか~。災害で大変だが、人のぬくもりを感じられるそんな一日でした。

 (*-ω-)*´ω`)*-ω-)*´ω`)ウンウン♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?