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応募していた小説の新人賞の結果

2022年春 星海社FICTIONS新人賞 編集者座談会』がネット上で公表された。

私はこの賞に応募していたのだが見事!

落選。

しかし、自分の作品がプロの編集者にちゃんと読んでもらえているということが立証されただけでも嬉しい。

大体、小説の新人賞というのは落選したら放置が一般的。出版社からのレスポンスなんてないのが普通。皆無。

受賞したことないので、当選は発送をもって代えさせていただきます。的な本当に審査しているのだかどうなのかわからない状態。ってのが正直なところ。

しかし、今回は違っていた。論評がちゃんと活字化されて広く一般に公表されたのである。

立派に死に花を咲かせた僕の作品ではあるが、コメントをもらえたことへの喜びがひしひしと沸いてくる。

編集者の皆さんありがとうございました。読んでくれただけでも感謝です。

というわけで、嬉しかったので僕が書いた作品「ふたりぼっち」の論評を全文コピペしてみました。

本当にうれしいわ~。・・・・・・落ちたけど (笑)



介護小説は鉱脈か?

岩間『ふたりぼっち』は、病気を扱う物語なんですけれども、温かさが魅力です。たとえるなら令和版『明日の記憶』。私個人としてはすごく好きでした。

丸茂荻原浩さんの作品ですか、僕は読んでないです……。

岩間『明日の記憶』は若年性アルツハイマーになってしまったサラリーマンが、家族に支えてもらいながら病気と闘うという小説です。渡辺謙さん主演で映画化もされ、第30回日本アカデミー賞で優秀作品賞を受賞したという……とても人気のある作品です。

片倉投稿作のほうは、どんなお話だったんですか?

岩間ひとりの男とその家族の物語を通して、昭和から平成までの介護福祉を描く話でした。主人公は公務員として福祉に深く関わってきた男性で、最愛の妻と娘を阪神・淡路大震災で亡くしながらも、奇跡的に生き延びた孫をひとりで育てます。そんな矢先、自分が脳梗塞、認知症になってしまい、介護する側から一転、介護される側になるというストーリーです。

片倉聞くだけでつらい……でもそういう現実はそこかしこにあるんでしょうね。

岩間朝の連続テレビ小説みたいに、主人公がおじいちゃんになる過程が描かれ、そこには日本の福祉の歴史、理想や綺麗事にならない当事者が向き合わなければならない過酷さが映し出されていておもしろかったです。関西が舞台で、関西弁による会話のテンポも良かった。ヤングケアラーとなる孫の心労も生々しくて、「愛する家族が、ある日介護する対象になったら」ということが見事にフィクションとして書かれていると感じました。受賞候補に挙げるに至らなかった理由は、ひとつは古いと感じてしまったことですね。重要な仕掛けとして、昭和や平成の数々の名曲が登場するんですが、選曲が大人過ぎてそのニュアンスが伝わる層が限定されてくるなと。

丸茂聞くからに、星海社FICTIONSがあまり想定していない年齢層がターゲットですよね。

岩間吉永小百合さんや加山雄三さん、クレージーキャッツさんなどが登場しますが、たとえばクレージーキャッツさんは1955年デビューなんですよ。いまは2022年なので、67年前です!

丸茂小説だと歌詞も使いにくいですし……。

岩間加えて、過酷な状況とはいえ出来事が主人公に都合よく進み過ぎてしまってるきらいがありました。主人公をあまり応援したい気持ちになれなかったんです。もう少しドキドキハラハラする展開があった方が、読者に共感してもらえるんじゃないかと思いました。

丸茂ケアの問題は、最近の文芸でもかなり取り扱われるようになりましたね。葉真中顕さんの『ロスト・ケア』とか羽田圭介さんの『スクラップ・アンド・ビルド』とか思いつきますが、明るいエンタメとして仕上げる路線は非常に難しくて決定的なものがまだ登場していない印象です。それゆえに鉱脈でもあると思うんですけど、星海社FICTIONSとはカラーが違うので、ほかの新人賞のほうが受けそうな題材かな。

片倉いわゆる一般文芸系の新人賞に投稿されていたら、もっと高評価だったかもしれませんね。

岩間その可能性はあったと思います。たとえば読者層が60代以上の方で、介護をテーマにした媒体に掲載する作品として読まれるのであれば、原稿を少し変えれば、広く共感を集められる芽があると思う作品ではありました。

『2022年春 星海社FICTIONS新人賞 編集者座談会』2022年5月13日(金)@星海社会議室 | 最前線 (sai-zen-sen.jp)


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