見出し画像

もうだれも止められない。

そろそろ喜寿に手が届こうかという妙齢のうちのオカンは、20歳そこそこで子供を産み、青春のほとんどを子育てと仕事に費やしてきた。その反動大きく、オカンは40を過ぎたころから、趣味人に変貌を遂げた。


「私の青春を返せ〜」的な怨念がこもっているものだから、オカンの趣味に対する取り組み方は尋常ではなかった。


「一生に一回だけやから、お父ちゃんお願い。一回だけ海外旅行行かせて」


と、懇願するオカンに親父は


「海外なんぞ行ったら、手足切られて、ダルマにされて、海に捨てられんぞ」


と、訳のわからん理由で阻止しようとしたが、オカンの「一回だけやから」のごり押しに根負けし、渡航を許した。


一生に一回だけのはずの海外旅行は、今では行っていない国の方が少ないぐらいである。


家族全員から「あんたは『兼高かおる世界の旅』か!」と突っ込まれているほどだ。


家族の突っ込みなんてまったくお構いなしのオカンの趣味はとどまるところを知らない。


「よさこい」(鳴子を持って集団で群舞を舞うもの)


で、やれ高知県だ札幌だ東京だと、海外に行かないときは国内を小躍りして回り始めた。


それでも踊り足りないダンサーオカンは、「次はフラメンコだ」と、ひらひらの衣装をまとい、鳴子をカスタネットに持ち替えて、「オレ!!」と日々精進している。


そのため、今では家中にアンダルシアの風が吹き荒れている。


温泉好きのオカンは、鳴子とカスタネット片手に「お母ちゃん、温泉すきやから、温泉場でお土産屋始めるわ」などと最近言い始めている。


オカンの趣味は留まるところを知らない……。お〜い。どこまで行くね〜ん。


今日はフラダンスだそうです。アロハオエ~。


(^ー^; )

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?