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2021/09/29の一本

本日に取り上げるのは経済・政策面からこちらの記事。

内容は、2021年度の経済財政白書が言及したソフトウエアづくりを下請け業者が事前に決められた予算内で請け負い、硬直的な仕組みのため開発の過程で優れたアイデアが生まれにくい慣行に言及し、価格設定の方法から見直すよう問題提起した事を述べている。

この記事を読んだ上でITコンサルタントとして考えたのは、本件の難しさ、そもそも実現することが可能なのかという事である。

というのも、私はウォーターフォールが活用される理由は大きく分けて=あると考えている。

1つ目が、予算の請求の問題だ。
私は、ウォーターフォールについて優れているポイントとして「発注側がどれだけのリソース(期間/予算/人員)を使った結果、何が完成するかがわかりやすいこと」だと考えている。
そして、結果と費用がわかりやすいからこそ、IT部門としても予算を請求しやすいこと、経営者としても資金が出しやすいこと、これが大きいと思うし、これが白書にて指摘されている項目だと考えている。

2つ目は、IT部門と業務部門の関係性だ。
というのも、本記事では

アジャイル開発は発注者と受注者が一体となってチームで進める。

と記載している。ただ、本記事で述べているような体制を構築するためには受注者の「IT部門」と「業務部門」の両方が参加する必要がある(業務プロセスを変化させるためには、業務部門の承認や確認が欠かせないためだ)。
しかしながら、業務部門にも通常業務があるからこそ、常にシステムを考えていることは難しい。結果として、業務部門がシステムについて考える機会を短時間に集中させるウォーターフォールのほうが通常業務への影響が小さくなると認識している。
(常にアジャイル開発ができる状況を実現するなら企業の業務部門の中にシステムに精通している人間がいる必要がある。もしくは、IT部門が業務にも精通しており、かつ、業務プロセスを変更することが可能な体制である必要がある)。

そういう意味では、本記事で指摘している予算の仕組みという観点は1つの正論である。一方で、業務の人間がシステムについても考えなくてはいけない状況であるということも認識してほしいと思う。

#日経COMEMO #NIKKEI

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