彼女誤字録 〜その1〜
プロローグ
高校2年生の初夏
テスト勉強をしていた高校の教室で偶然出会った彼女に私はほぼ一目惚れだった。私は彼女のことがキラキラ輝いて見え、井上苑子が言う「何も手につかない、頭から消えない」状態に陥った。
二度も交際を申し込み、「彼氏」という肩書きと、「彼氏の特権」を手に入れた。
しかし、その時の私はまだ知らない。
めちゃくちゃ天然な女の子だったとは。
LINEで笑いが止まらない
付き合った当時、まだ高校生だった私たちはLINEでやり取りするのが主だった。朝起きたら「おはよう」、夜寝る時は「おやすみ」。そんな何気ない日常の会話の中で、ある時気づいたことがある。
この子、天然なのかもしれない…
デートをしたり、一緒に下校したり、電話したりする中で薄々気づき始めていたが、それがLINEになると顕著に現れる。そう、誤字だ。
今回はそんな天然な彼女の、LINEでの誤字を読者の皆様に紹介したい。
ケンシロウ、降臨
まずは、手始めに誤字初級編から。
「睡魔に勝てなかったあたた」
あたた。あたた…。あたた…??
寝起きにケンシロウが降臨したとしか思えない。
直前の「んあ」も気にはなるが、「あたた」によって揉み消されている。それに、なぜ当時の私はケンシロウに対して冷静に「おはよう」などと返事をしているのだろうか。
そして耀くウルトラ誤字
次の誤字は少々地味である。
これは、高校の卒業旅行の場所を決めている時の会話の抜粋である。
稲葉っぽい!
B’zが好きな人にとっては最高の褒め言葉と言っても過言ではなかろう。生憎、B’zが大好きでもない私にとってはただの誤字である。
元吹奏楽部の弊害
彼女は中学時代、吹奏楽部でユーフォニアムを吹いていた経歴をもつ。そんな彼女の誤字はこちら。
「レパートリー吹いた」
レパートリー吹いたらしい。私は音楽をそれなりに聴いてきたつもりだったが、残念ながら「レパートリー」という曲は存じ上げない。きっと、お好み焼きが美味しすぎて、楽器を吹きたい衝動にでも駆られたのだろう。そんな美味しいお好み焼きを、一度でいいから食べてみたいものだ。
新しい郷土料理を生み出した
彼女は視力がとても悪い。そんな彼女のメガネの調子が悪かった時のLINEである。
「素敵なメガネライス!!!!」
カレーライス、ガパオライス、タコライス、そして、メガネライス。一体、どんな料理なのだろうか。「素敵な」と言うくらいだから、きっと頬が落ちるほど美味いのだろう。
彼女の誤字は終わらない
今回紹介した誤字はほんの一部である。最近はあまり誤字を気にしていなかったが、改めて見ると、大変面白い女の子を彼女にしたと思う。
彼女の誤字は終わらない。
これからもきっとヘンテコな誤字を産出してくれることだろう。
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