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古着のおめかし

おばあちゃんが若い頃に着ていた服も、お母さんが着ていた服も、今の私が着ている。

高円寺や下北沢に行けば、古着屋さんに吸い込まれてしまう。

もちろん、新しい服も好きだけれど、古着屋さんはまた別格の宝箱のような場所だ。

古着屋さんには掘り出し物があるから。

新しい洋服がずらっと並んでいるお店にはない、一風変わった服が古着屋さんのたくさんの服の中に隠れている。

その服が埋もれた中から顔を出した時、目の前がぱっと開けるような感覚になる。

もちろんどんな古着が自分にとって輝いて見えるかは、人それぞれの好みがあるから違うと思う。

でも自分にとって「これだ!」と一目目にして思える古着に出会うことがあって、その瞬間がとてつもなく楽しい。

それに古着屋さんの服は案外きれい。

それなりに使われて年数が経っているけれど、再び使ってもらえるだけある。

ほとんどの古着は型がしっかりと整っていて、着てみるときれいなシルエットが現れる。

デザインも今の流行とは違っているから、街を歩いていても誰かと被ることは無いし、自分だけの雰囲気を出すことができる。

自分だけの雰囲気。

「なんだか埋もれたくないな」そう思う私は、たくさんの服の中でウインクを投げかけてくれた、とびっきりの古着に憧れるのだ。

自分だけの雰囲気を纏いたいから、自分というものを分かって表現してみたいから、そんな気持ちからつい、古着を見に行ってしまうのだと思う。

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