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食べ物であふれている没落貴族的箱庭のお話

実家には、とても素敵な、それはそれは食料自給率の高いお庭がある。
この庭の存在は、実家が言うなれば没落貴族であることに起因する。私は生まれてからこのかた、この庭に育てられたわけだが、それに関しては後半で説明するとして、youtubeチャンネルに出てくる外の風景は、このお庭で撮影している。まずはいかに素敵かということを映像とnoteの写真で伝えたい!


日本庭園とイングリッシュガーデンを足して2で割った感じのお庭。
植物がみんな元気に育つ庭。
大きな木で囲まれている様子は、さながら箱庭。

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なんてたって「食べ物」に事欠かない庭でもある!!
私が作るお料理は、大抵この庭からとられたもので、少なくともその日のうちに料理になる。スーパーで購入することは、本当に少ない。

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この庭のおかげで、夏場は本当にスーパーに行くことはとても少ない。

スーパーは、北海道では栽培しにくいスパイスや調味料を買いに行ったり、「ほほう、こんなものもレトルトで用意できちゃうのか!!」と面白がりに行く場所だ。あと、クロエちゃんへのスペシャルおやつ(チュール)の購入もする。

(収穫した大根とサイズ比較されるクロエちゃん)

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庭には畑もいくつか内包されており、そこでは毎年20種類近くの野菜を育てている。写真の左側はきゅうりやズッキーニたちの領地、右側はセージやタイム、フェンネルなどハーブたちの領地。

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ハーブも10種類以上はある。ベリー類も、たっぷり。ブルーベリーや赤すぐり、ラズベリー、アロニア、ハスカップ、木苺の原種などなど、北海道ならではのものが充実している。

この写真はブドウ。秋には綺麗な紫色になる。

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これは梅。梅ジャムにしたり梅干しにしたりする

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これは原種のラズベリー。なぜか昔から勝手に生えてくるらしい。

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こちらはオレガノ。これでチキンを焼くとケンタッキーに近い味に。

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もう少しで食べ頃のブルーベリー。

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今が旬のたわわな赤すぐりを使ってジャムを作り、手作りのバスチーにかけるのは本当にお気に入り。

上に乗ってるミントも畑から。

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養蜂も今年で10年目だ。
毎年、生蜂蜜が食べ放題なのは本当に幸せ!

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蜂の巣バゴのまえに広がっているのはハーブのタイムの草むら。これもすごく良い調味料になる!肉や魚にちょっと加えて一緒に焼くと、途端にお店の味になる。

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こんな感じで鉢の巣箱をチェック。
蜜蝋でエネルギーチャージをする可愛い蜜蜂たち。

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蜂蜜は、そのままで食べるのはもちろん、砂糖の代わりにジャムに使っている。


鶏がいた時もあった。名前はこっこちゃん。歳をとって卵を産まなくなったので弟が絞めておいしい肉団子になってしまったけれど。

弟の奥さんとお散歩を楽しむ生前のこっこちゃん。

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私の母と草むしりに勤しむ生前のこっこちゃん。

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こっこちゃんについては、弟のブログ「ばうあー日和」に詳しく書いてあるEGG or DEADの運命をたどったこっこちゃんの生き様はまさに華麗(加齢)であった。


野菜や蜂蜜、ベリー類などのそれらは、出荷することはなく、自家消費用。無農薬無肥料の完全オーガニック野菜やハーブ!

蜂蜜は特に美味しく、生蜂蜜を無限に食べられる贅沢を日々味わっている。

美味しいものは、これだけではない。
なぜか、勝手にはえてくる野菜もあるのだ!

・行者ニンニク
・わらび
・ウド
などの山菜類にはじまり
・アスパラ
・山わさび
・茗荷
・ケール
・小松菜

チマチマした可愛い野菜がワイルドに勝手に土から顔を出す。

よっぽど我が家の庭の居心地がいいのかな。人間側の畑や庭の管理が雑ともいう。隙だらけの庭なので増えやすいのかもしれない。

アイヌネギを収穫する私。今年は大豊作だった!

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この庭の凄いところは、札幌の普通の住宅街の中にある点だ。
どれくらい普通かというと、近くにスーパーやコンビニがあり、公文式があり、小学校がある。戸建てが多く所狭しと家が立っている。

住宅街の中に突如現れる森空間。山菜がたっぷりとれる謎空間。

うちの敷地だけ「山」である。

なぜこんなに山的なのかを母に聞いても、勝手に生えてくるとしか教えてくれない。

野菜やハーブ、ベリー類は、特に剪定や間引きなんてことはしておらず、トマトやきゅうりに支えの棒を添えるくらいで、勝手に生えてくる。

無農薬無肥料野菜は育てるの大変そうなイメージだが、我が家の場合、農薬をまく作業がないのもあり、完璧にほったらかし。雑草取りも適当なので、普通の野菜作りよりずっと簡単である。植物にもシュタイナー教育を ということらしい。

収穫量はかなり多く、弟夫婦、私夫婦、母(父は数年前に他界)がスーパーで野菜を買うことなく十分に食べていける量とれるのだから、野菜がもつ本来の生命力の強さを感じる。


この暮らしは私が生まれたくらいから続いており、植物が自由に生えるがままに任せ、野菜の生命力を過信しつつ、ぶつかりそうな草たちがあればたまに手を加えて、ベリーやハーブはミツバチたちの受粉のおかげで順調に増えていった。



30年前から、我が家は、住宅街で自給自足を試みる変な家庭であった。

住宅街とはいえ、父方の祖父が北海道を開拓した時の初代農家だったので、幸い土地だけはたくさん持っており、広さはそれなりにある。ご先祖様は四国から飛ばされてきたらしい。


庭の広さは、具体的には一軒家8件分くらいかな。


池の方はモネの「睡蓮」みたくなってきた。

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年を追うごとに、アメンボや鴨など生き物たちの憩いの場所になっている。


鴨は今年、カップルでやってきて卵を産んでくれた。

赤ちゃんを楽しみにしていたけれど、卵はカラスか猫に食べられてしまったらしい。卵の殻が石の上に転がっていたのを見つけた。

この庭は、動物たちの格好の隠れ家で、野良猫がよく遊びに来る。
顔なじみの野良猫も2匹ほどいる。



この庭の主たる母の最近の夢はヤギを飼うことらしい。
芝生が広がっているスペースがあり、そこでヤギを飼いたい野望がある。
乳を搾ってチーズを作るのだ!

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東京砂漠コンクリートジャングルが一般的な現代社会からみたら我が家は長閑すぎて、とても余裕があるのねん なんて思うかもだけど、実際はそういうわけではない。

言うなれば我が家は没落貴族だ。

昔は価値のある土地だったからそれなりにやんごとなき暮らしをしていたらしいが、今はそのようなこともなく。
少なくとも、わたしはこの家でやんごとなき暮らしを一度も味わったことはない。

冷蔵庫にコーラやジュースが入っていたことはなく、甘い飲み物が欲しければ庭からブルーベリーやラズベリーをとってきて、潰して炭酸で割って飲んだ。
庭の果物は綺麗という先入観から洗うことをしなかったので、小さな虫も絶対に一緒に食べてたと思うけど、お腹は痛くなったことないのできっと大丈夫。
大人になってから、ラズベリーの中からちっちゃな幼虫が「こんにちは」してるのを見て、「あ。私これ食べたことあるわっ」て思った。

お菓子ではなく、庭のものばかり食べていたから、市販の甘いお菓子が苦手になったのかな。私のnoteのレシピはどれも甘さ控えめなのだ。

「食べ物がなければ作ればいいじゃない」
「レストランに行けなければ、レストランの味を家で作れればいいじゃない」

そういうわけだ。クリエイティブ没落貴族。土地だけはあるからその土地でどうにかしよう!的な。


お金はないけれど、心に余裕があって豊かな暮らしを送っていた。
今もお金はないが、心だけがどんどん豊かになっていく。


それが原因かはわからないけれど、歳の割に見栄っ張りでなく、稼ぐということに執着できずにいるし、成り上がってやろうぜ〜!的な精神もいまいちかけているので、このままでいいのか私。
働くモチベーションはクロエちゃんに美味しいチュールを買うためだ。

収穫した大根ときゅうりの検品をするクロエちゃん。

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手作りすればどうにかなるっていう気楽さや楽しさが身についたのは、間違いなくこの庭のおかげ。

もっとマイペースに生きていいんだよって、思いながら今日も実家に行き庭の収穫にせいを出す。


没落貴族的暮らしも、悪くない。


note書くときのコーヒー代や、クロエちゃんへのスペシャルおやつ代にさせていただきます٩( 'ω' )و