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わたしの本棚

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わたしの読書記録です。
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#垣谷美雨

本棚:『後悔病棟』

神田川病院に勤務する33歳の早坂ルミ子は末期がんの患者を診ており、これまで多くの患者を看取ってきた。しかし、彼女に貼られたレッテルは、患者の気持ちがわからない無神経な医者だというもの。ある日、中庭で見つけた聴診器を患者の胸に当ててみると、患者の心の声が聞こえてきて…。 以前は「人生やり直せたら…」と思うことがありましたが、最近はあまり思わなくなりました。理由の1つは友人が「人生やり直せても、今の『あの時ああしていれば…』って思いを持っていなければ、自分の性格からすると、結局

本棚:『墓じまいラプソディ』

本人曰く、常識がないのではなく、常識にこだわっていないだけの松尾五月、61歳。もうすぐ義母の四十九日が近づく中、義母は死んでも松尾家の墓には入りたくなく、樹木葬を望んでいたという。しかし、松尾家には数年前に義父が建てた立派なお墓があるのだが…。 わが家の場合は、父は長男ではないし、長男である伯父さんは鬼籍に入っていますが、息子のところに孫(男の子)もいるので、しばらく墓守の心配はしなくてよいのでしょう。一方、母の方は、男きょうだいは叔父さん一人で独身だから、きょうだいでお墓

本棚:『ニュータウンは黄昏れて』

バブル崩壊前に購入した東京郊外のニュータウンにある中古の公団住宅の4LDK、5,200万円。住宅ローンが残る中、夫は勤め先が吸収合併されて部長職から平社員となり、役職手当がなくなっただけでなく基本給も大幅カット。娘は大学卒業後、入社式直前に内定先の会社が倒産。正社員の道は遠く、アルバイトを続けながら教育ローンを返済中。そして、鯛焼き屋でパートをしている頼子は、団地の理事の当番が回ってきて…。 わたし自身は、家を所有することに価値を感じないので賃貸派ですが、以前に比べると「家

本棚:『行きつ戻りつ死ぬまで思案中』

垣谷美雨さんのエッセイ。これまで小説は何冊か読んでますが、エッセイはお初。どんなことを日々思ったりしているのかな?と興味がありまして。また、読んだことのある作品のタイトルが出てくると、やはり嬉しくなります。そして、読書メーターをたまに見ておられるようなので、私の感想も読まれていたりするのかな?なんて期待してしまったり。 一番印象に残ったのは「タイムマシンに乗れた私」でして、『鴻上尚史のほがらか人生相談』にあったそうなのですが、「十年後の自分がタイムマシンに乗って現在に来たと

本棚:『夫の墓には入りません』

結婚して15年。脳溢血で急死した夫は、まだ46歳だった。しかし…。どうして悲しくないんだろう。 大好きな垣谷美雨さんの本。姻族関係終了届と復氏届は、別の著者の作品でも出てきて、その時に知りましたが、知っている人は多くはないのかな。 途中までほとんど出番のなかった主人公の父親が、後半、大活躍なのですが、相手を非難せずに、自分がどう感じたか言うように娘にアドバイスする場面があります。これってもしやアサーティブ?アイメッセージ?と思いまして、難しく考えなくとも、これが自然とできて

本棚:『あきらめません!』

去年はじめて読んでファンになった垣谷美雨さん。毎回、途中は痛い目に遭って凹んだり投げ出したくなったりするけれど、最後に必ず道は開けるはず!と明るい未来を想像して読んでいます。 本書の主人公の一人は、夫婦ともに定年退職を迎えてから半年が経つ霧島郁子。初めての専業主婦生活を満喫していました。一方の夫は定年延長制度を利用して働いていたものの、裁量権も決定権も失い、給与も現役時代の3分の1となって、嫌気がさしており、田舎に帰ることを提案。友人たちからは考えが甘いといわれるものの、東京