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特別支援学校と猫かぶり息子のファーストコンタクトの話


こんばんは、べっこうあめアマミです。
来年小学1年生になる息子の進路が特別支援学校に決まり、いよいよ支援学校の面接に行ってきました。

もう何度も何度も書いていますが、初めてこの記事から読む人もいると思うので改めておさらい。

私の息子は、中等度知的障害を伴う自閉症で、言葉を一切話しません。
中等度と言っても、もはやほぼほぼ重度。
児童相談所からは中等度って言われたけど、教育委員会からは重度って言われたよっていう、なんとも説明しづらい微妙な人です。

まぁ、とにかく喋らない5歳でそんな感じだよってことだけざっくり頭に入れて、読み進めてくださいな。

いざ面接へ


「11月〇日、お子さんと一緒に面接に来てください」
就学相談が終わって、教育委員会からではなく支援学校からの連絡が初めて私のスマホに入ったのは、一ヶ月ほど前のことでした。

私はこれまで何度か足を運んできましたが、息子にとっては正真正銘初めての場所です。
初めての場所、しかも学校、息子がどんな反応をするのか正直不安すぎて、若干緊張しながら向かいました。

行く前に息子に、「今日はね、ムスコちゃんが今度の4月から行く学校に行くよ」なんて言い聞かせたりしましたが、息子は相変わらずの、聞いてるか聞いてないかよく分からないポーカーフェイス。

うん知ってた!!別に反応が来るとは思ってなかった!!

反応がないから私の独り言状態だけど、実は息子はわかってて、「え、まじ ?!学校?!おれも幼稚園のみんなみたいに学校いくんだ!(←ただ今就学前検診の時期)えっえっちょっとたのしみなんですけどー!!」って頭の中で考えてるかもしれないしね。


あれ?あなたここ来たことあったっけ?あまりに慣れてない?


そして支援学校に到着。
玄関に着くと、先生たちが待ってましたとばかりに私と息子を迎えてくれました。

突然の初対面の人人人、息子、混乱するかなと思いましたが、そんな心配なんのその、息子はスムーズに靴を脱ぎ、上靴を履き、小走りでそのまま校内に入っていったのです。

先生たちが、「じゃあムスコくんいこっか~」と言って 促すと、息子はすたたたたーっとまた小走りでかけだし、先生達と一緒にすたこらさっさと廊下の先へと消えていきました。

置いて行かれた格好の私。
文章の上でも4行、実際の時間にしても ほんの数分、あまりにあっけなくさらっと息子は、これから9年間お世話になる学校とのファーストコンタクトを終えたのでした。

「あれ?あなた、ここ来たことあったっけ?毎日通ってます~みたいなノリだけど初めてじゃん?」
自閉症の息子が、あまりに抵抗なく慣れた様子でいたこと、そしてこの学校にも先生達にも心を開くスピードがめちゃくちゃ早かった事に、私は驚きを隠せません。

「じゃあお母さんはこちらにどうぞ」
安心とともにちょっとだけ寂しさも感じながら、私は、 親担当の方の先生と共に別の部屋へ向かったのでした。 


優しすぎて挙動不審に磨きがかかる…夢の国かな?


「なんかめちゃくちゃスムーズでしたね~ !もう慣れてるよって感じでしたけどww」
そんな話をしながら面接の部屋へ。

ここでもコロナ対策、プラスチック板ごしの面接です。

最初に、就学担当の先生から資料を渡されました。
学校生活の流れや入学までに準備するものなど、しおりに沿ってあれこれ説明を受けました。
情報がいっぱい入ってきてよく分からなくなってくる私。
でも先生が優しすぎて、一個一個、わからないことはないか確認しながらゆっくり進めてくれます。

次に、小学部の主任の先生が来て、保健の先生が来て、生活指導の先生が来て、ピシッとスーツを着た副校長先生まで挨拶に来てくれました。

その先生方が、 本当に揃いも揃って全員素晴らしく感じがいい。
好感しかない。
もう、心から息子のことをウェルカム態勢で歓迎してくれているのを感じました。
嬉しかったのが、各担当の先生方が、手元の用紙に枠からはみ出るくらいメモをしながら、いっぱい息子の事を知ろうとしてくれるんです。

とにかく先生方みんなやさしくて気さくで、 緊張していた私も気づけばペラペラペラペラ息子のことを長々と喋り続けていました。

障害児育ててると、風当たりが強かったり嫌な思いをする事、めちゃくちゃ多いじゃないですか。
ここは、そういうものが1ミリもない。
むしろ息子も私も、全力で歓迎されている。
そんな暖かい雰囲気が嬉しくて、まるで夢の国のように感じました。


本当になんでもどんとこい!オールOK!これが支援学校


息子は知的障害が結構重いので、日常生活でできないことがいっぱいあるんです。

5歳でオムツも外れてないし、唾で遊ぶし、なんでも噛んで壊すし、謎のこだわりはあるし、 癇癪を起こすことだってあるし、 挙げればきりがないほど、学校生活を送るにあたって不安なことがたくさんあります。
でも、しおりや、配られた色々な書類を見ていくと、そんな不安を全部吹き飛ばしてくれるような手厚い支援や安心する言葉の数々がありました。

「これなら息子も安心して学校生活を送れそう、私が心配することなど何もないのだ!」
そんな気持ちになってきました。

普通の小学校だと、入学する時にオムツが外れてないなんて子がいたら、なかなかに問題になるかもしれません。
でもここは、オムツが外れてないことも、学校やスクールバスで粗相をしてしまうことも、 なんでもどんと来い!という姿勢です。

息子の困りごとの数々を話しても、先生方は慣れた様子で驚きもせず、うんうんと聞いてくれました。
「息子はありのまま、焦らず一歩一歩進んで行けばいいんだ、ここに通えば、息子はきっと色んな事ができるようになるだろうな…」
就学相談では色々悩みましたが、支援学校を選んで本当によかったと思いました。


最初が肝心!ってムスコよ、ちょっと良い子すぎじゃないか?


面接が終わり、息子を迎えに行きました。

息子はちょっと広めの部屋で、なにやら体を動かす系のいろんな形の遊具と共にいました。
私を見つけると、息子はしゅたたたたーっと寄ってきて、 先生に手伝ってもらいながら上着を着てリュックを背負って帰る姿勢になりました。

息子は、あまり体を動かすのが好きではありません。
ですが、先生からは意外なことを言われました。

「ムスコくん、体動かすの好きなんですか?」

いや、そんなこと言われたことありません…。

「入ってすぐに、ここにあるサーキットを一通り自分でやってみて、その後も何度も何度も回ってましよ」

え…??!あの、陸上にいる時の海の哺乳類みたいに動きがスローな息子が…?

「家だと全然動かないんですよ~」と答えるしかできない私は、先生の言ってることが半信半疑でした。

最後に、先生が息子にメダルのシールをくれました。
すると息子は、手をパンパンと叩いて、「ちょうだい」の意思表示をしたのです。

ええええええーーーー!!いつも、食べ物の時にしかやらないやつーーーーー!!

こんな、絶対食べられないもののために、今日初めて会った人に向けてこんなサインをするなんて、あまりに良い子感漂わせだした息子にこちらがびっくりです。

しかもシールを受け取るとお行儀よく、「しまっといて」といわんばかりにさっと私に渡して玄関へと歩き出しました。

あれ?噛まないぞ?破らないぞ?投げないぞ?

そして玄関に行くと、上靴を脱いで、「おれ、いつもこういうのちゃんとできるし~」と言わんばかりに今日のために臨時で作ってくれた息子の名前の下駄箱に上靴を入れようとする息子。
いや、もう4月まで来ないから持ち帰らないとなんだけど。
そして、「おれ、こういうのだってできるし~」と言わんばかりに靴も履き、先生たちにほめてもらってしたり顔。

ちょっと息子、猫被りすぎでは…。

え!次は入学式?!コロナは続くよどこまでも

今回、息子ははじめて入学する予定の支援学校に行きましたが、次に行くのはもう4月の入学式らしいです。

「え!!もういきなり入学なの?!」ってちょっと驚きますが、これはおそらく今年特有の事情です。

コロナ…。
本来だったら、入学前に入学予定の子を集めて様子を見たりする日があるそうなのですが、今年はコロナの影響で中止。
入学説明会は親だけで参加。

これまでだって、入学を検討してる子が見に来れる各種行事は全部中止、体験入学もとりやめ、ととにかくコロナの影響で人の出入りは最小限に抑えられていたので、入学前に息子が学校に来るのは本当に、面接のこの日だけだったのです。

だから私も、息子の反応が不安ではありました。
でも、はじめて来たのにこれだけ馴染めているということは、息子にとってここがとても居心地がいい場所なんだろうなと、進路選択が間違っていなかったことが確信できました。

もはや1ミリの不安も後悔もない、4月が楽しみありがとう!

建物も人も、すべてにおいて大満足。息子も気に入った様子。
もはや1ミリの不安も後悔もなく、来年の4月を迎えられます。

なんとなく抵抗があったり暗いイメージがつきがちな支援学校。
子供によって、障害の程度も違えば性格も違うし、地域によって支援学校も色々だと思うので全ての人に「支援学校がいいよー!」と勧めることはできません。
でも、私たちにとってはすごくよさそうでした。

子供に障害がある…そのせいで幼稚園や保育園の幼児教育の場では、入園させたくても難色を示されたり断られたりと、毎年何人もの障害児ママの心をズッタズタにしています。

でも小学校に上がると、親が望めばこれだけの支援態勢が整えられているんだなと思いました。
ここでは入学拒否も渋りもない、まぁ、義務教育だからそりゃそうなんだろうけど!


息子の成長と、私が抱いた嬉しい気持ちをどこかに残しておきたくてこの記事を書きましたが、
この記事が、支援学校を検討する障害児ママの少しでも参考になればいいなと思います。

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