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旅と本

普段時間があると本を読んでいます。何ならエレベータに乗る時間、エスカレータに乗る時間も無駄にしたくありません。何もしていない時間というのは基本有りません。
そうすると必然的に旅にも読書が組み込まれるわけです。
読書旅は新幹線での移動を盛り込むのがベストではないでしょうか。うっかりバスでの旅行にしようものなら酔ってしまうので本なんて読んでいる暇はありません。なるべく寝て過ごして三半規管を正常に保つ必要が出てきます。
車の場合は快適なのですが、どうしても移動時間は本が読めません。しかし自由度が一番高いのが車移動ですので一番好きです。
それでは理想の読書旅を我が家からの道のりでシミュレートしてみましょう。

【本選び】
前日荷造りの時に読む本を考えます。
まず今読んでいる本がどれくらいの進行度なのかを確認しましょう。三分の一を切っているようでしたら荷物になるので出来るだけ前日読み終えましょう。
あと20Pしか残っていない本を持っていくのは愚の骨頂だと思っています。
1泊であれば僕は3冊持っていきます。まず現在読んでいる本。風呂で読んでも惜しくない本1冊。そして予備の本です。予備の本は時によっては読んでいる本がつまらない時の息抜きに読んだりするので、今読んでいる本と違うジャンルを持っていくことが多いです。
ここで決めたとしても翌朝気分が変わっている可能性が有ります。
まだ仮のデッキと考えた方が良いでしょう。

【旅行当日】
朝コーヒーを飲みながら旅行の行程に思いを馳せます。出来れば旅行の途中で地元の書店に寄れたらいいなあなどと思いながら、自分の選んだ3冊のデッキを頭に思い浮かべます。
本当にいいのか?その布陣でこの旅行を乗り切れるのか?などと去来する思いを胸に。
今読んでいる本はあまり乗らないから帰ってから読む事にして、行きの電車ではビールを飲んでボーっとしているかもしれないから、軽めのエッセイの方がいいかも。なんて考えながら読みかけのミステリーOUT、エッセイIN。
そうするとサブの1冊も軽めなので旅行中に読み終わってしまう可能性が出てくる。でもあまり旅行に分厚い本持っていくのもはばかられる。ここは一冊追加か?いや、風呂用の本を最悪読めばいいではないか。いやしかし・・・。静かな葛藤が渦巻きます。

【電車でターミナル駅へ】
乗り換えもあるので、荷物満載で身重の身にはハードカバーは厳しい。出来れば文庫で揃えたいところではありますが、読みたい本がハードカバーであった場合はその苦労を押して読む事になります。そのちょっとのメンドクササを乗り越えられるのが真の本読みであるからです。
ここで注意しなければいけないのは乗り越しと網棚への荷物忘れです。読書あるあるですが、読書に集中するあまり取り返しのつかない事態になりがちなので注意が必要です。

【そして新幹線へ】
新幹線に乗ってしまえば数時間は安楽な幸せ読書タイムが待っています。
そうすると色々煩わされたくないので、乗り込む前に色々準備が必要です。
まず、出発してすぐにビールで乾杯したい所であります。読書関係ありませんがやはり気分を高めてよりよい読書時間を得るためには不可欠でしょう。
弁当はある程度経ってから食べないと旅情に浸れないので、乾杯の時に軽くつまめるお菓子なんかが欲しいです。袋に手を突っ込んだりすると本に脂が付く可能性があるので、僕ならじゃがりこなど接種しやすいものを選びます。
弁当も読書には関係ありませんが、ここはおつまみにしやすい幕の内系が無難でしょう。

新幹線が駅を離れるまでももちろん本を読んでいます。しかしそこは旅なので、車窓の外の風景を眺めましょう。3分程でいいのではないでしょうか。それくらい眺めれば世間体も保たれると思います。
あとはじゃがりこボリボリ、ビールぐびぐびと接種しながら本の世界を満喫するだけです。

1時間ほど経った時、そろそろか・・・。なんていう態度でおもむろに幕の内弁当を開きます。ビールは温くなっている可能性があるので、2本目はもうちょっとしみじみ飲める角ハイボールなんかが好みです。
この時間だけはそっと本を閉じ、車窓の外を眺めながら、そして一つ一つの食材を眺めながら食します。
後片付けをした後は、本の世界に没頭して目的地に着くのを待つだけであります。

【目的地にて】
観光結構、大いに楽しんでください。僕はあまり観光に興味が無いのですが、せっかく行ったのだからとその土地の景勝地や神社仏閣に赴く事もやぶさかではありません。
そこで気になるのはその土地でどのようなラインナップなのか。そう、書店です。
わざわざ観光地まで来て書店を探してさ迷うのはなかなか大変ですが。今は便利でスマホが一つあれば近隣の書店を探すことは造作もありません。
地方の小さな書店かも、全国チェーン店の中型店かもしれません。もしかしたらこだわりの古書店だったりして。
どんな書店でもその土地で売れ線や郷土のコーナーがあったり、その土地出身の作家を推していたりするかもしれませんので油断は禁物です。そういう特色を見つけることがとても楽しいのでお勧めです。
あまりにも小さな書店の場合、何も買わずに出るのに勇気がいる場合が有りますので、そこは覚悟の上で。

【お宿にて】
やはり読書の事を主体に考えると温泉旅館が一番気分が盛り上がるのではないでしょうか。古くても新しくても、高くても安くても一番重要なのは「静か」であることです。
出来れば大宴会とかが催されない雰囲気の場所がいいですね。
当然部屋に行ってもテレビは点けません。不要です。BGMもいらないでしょう。
部屋の静けさの中でまずお茶を入れて、休憩がてら本を開きます。
長テーブルと座椅子というポジショニングもいいですし、窓際の一人用ソファーが対面になっている所で景色を愛でながら読むのもまた一興。

【お風呂にて】
お風呂で本を読むのは読書好きあるあるですが、温泉や銭湯では常識外れです。まず見たことが無いし、いたとしたらかなりの変人扱いされる事間違いなしです。
そこで、貸し切り風呂があるかどうかが重要になります。
あらかじめ貸し切り温泉がある宿を選ぶのが一番でしょう。早い者勝ちの予約のパターンが多いので早めに宿に到着して予約してしまいましょう。
貸し切りであれば常識範囲内で何をしてもとがめられることはありません。好きなだけ(時間内で)読書温泉を楽しんでください。
ここで重要なのは、あまり大事にしている本は持って行かない方が良いし、出来れば防水性のあるブックカバーなどを使うとモアベターでございましょう。
意図せず長風呂になる可能性があるので、お水なんて持っていくと捗ること間違いなしです。
くれぐれも大浴場で本を読んだりしないように気を付けてください。

【お食事】
ご飯の時は本なんか読んではいけません。美味しいお料理を堪能しましょう。

【就寝】
食事まで終わると、お風呂と布団の往復を何度かする事だろうと思います。途中酒も入ったりでどんどん弱ってきます。下がってくるまぶたを意地で持ち上げながら読書を続けましょう。きっと翌日読んだ内容を全く覚えていない事に気が付くことでしょう。酒と温泉の眠気に勝てる訳がありません。

【まとめ】
如何でしたでしょうか読書旅行。喫茶店に寄っても鈍行に乗っても講演で休憩してもお城の石垣に座っても待ち合わせで待ちぼうけ食らっても電車が遅れても本と財布さえあれば何とかなります。

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