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分籍問題。同性婚が認められれば「強制分籍」は不要になる?【戸籍法・性同一性障害の特例法】

MtFさんらのブログ等を読んでいても盲点だったことがあります。

それは、「性別の取扱いの変更」をしたら、自動的に「分籍」されてしまうということです。親の戸籍から外れてしまうということですね。

どういうことかというと、それを知らずにいると、親の戸籍に「GIDにより分籍」(というより「【平成15年法律第111号3条による裁判確定~新戸籍編製】」)という表示が残ってしまうということです。

兄弟姉妹がいる場合など、戸籍謄本を提出するたびに、提出先に「平成15年法律第111号3条??」と思われてしまうでしょう。平成15年法律第111号3条が「性別の取扱いに関する特例法」を指すことは、調べればすぐにわかります。つまり、分籍問題を知らないと、兄弟姉妹にいらぬ気苦労をさせかねません。

1.強制分籍を避ける方法

戸籍変更のステップには、次の3通りがあると思います。

①分籍→名前変更→性別変更

②名前変更→分籍→性別変更

③名前変更→性別変更→強制分籍

分籍はとくに理由がなくても自由にできます。

よって、性別変更の前に分籍をしておけば、親の戸籍に「平成15年法律第111号3条(=特例法)」云々、、という記載が残るのを、避けることができます。

分籍を、名前変更の前にするか後にするかは、好みの問題かと思います。

変更後の名前が男女どちらかハッキリわかる名前でしたら、「あ~トランスジェンダー的な何かなんだな」と、一瞬でばれます。

が、中性的な名前でしたら、「お坊さんになったのかな?キラキラネームが嫌だったのかな?自己破産でもしたのかな?」くらいにしか思われないでしょう。

2.審判の過程で「分籍問題」に気づいたら

「性別変更&名前変更」を同時に審判申したてすることもあると思います。

私もそうだったのですが、書記官(参与員)との面談が終わった段階で「分籍問題」に気付き、「あ~もうちょっと調べておくべきだった⋯」と後悔しました。

しかし、私の地区の家庭裁判所は「性別変更のプロセスは名前変更が確認できてから」というスタンスでしたので、上記の①②③のどれかを選ぶ猶予ができました。(補足;性別変更は裁判所が自動的に戸籍に反映させるのに対し、名前変更は自分で市役所に行って変更届を出してはじめて効力をもって戸籍に反映されるため。)

その辺は、家庭裁判所や裁判官や書記官の方針によると思います。

逆に、私は職場や海外滞在などのことを考えると、「名前変更許可だけもらう→先に性別変更→(しばらくしてから)名前変更」にしたかったのですが、これはできないということでした。(前述のとおり、性別変更は名前変更後にしてくださいという話になったため。)

3.「分籍問題」をめぐるジェンダー差(?)

冒頭で、「MtFさんらのブログ等を読んでいても盲点だった」としましたが、FtMさんの場合、分籍で云々してるブログが結構見つかりました。

というか、「分籍 GID」で出てくるのはFtMさんのブログがほとんどです。(MtFの植田真理子さんのブログなどにはちらっと触れられていましたが)

何かジェンダーによるものを感じられ、興味深いですね。。

FtMさんの場合、結婚した時に男性側として戸籍が重要、という事情もあるとは思いますが、それだけではない何かを感じます。。

「僕が分籍した理由はただ1つ。
親の戸籍ぐらいは守りたかったから。」
といった理由が多いですね。

立派⋯。。

いいお父さんになれますね。

4.同性婚が認められれば「強制分籍」は不要になる?

なぜ「強制分籍」になるかというと、おそらく想像ですが、「同性婚」が認められていないからこその措置だと思います。「既婚の場合、既婚者と別の戸籍になる」ということですので。

同性婚が認められれば、おそらく「強制分籍」は不要となるのではと思います。

同性婚など同性愛者の権利に対して、無関心なGID(性同一性障害の人)ないしT(トランスジェンダー)は多いですが、こういうところに関わってくるんですね。

5.参照法令

戸籍法 第二章 戸籍簿
第二十条の四 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号)第三条第一項の規定による性別の取扱いの変更の審判があつた場合において、当該性別の取扱いの変更の審判を受けた者の戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者を含む。)が他にあるときは、当該性別の取扱いの変更の審判を受けた者について新戸籍を編製する


第73条第1項の書面の記載例 付録第25号

第73条第1項の書面の記載例 付録第25号


なお、「従前の名前」を消すには、分籍のあと、「(別の市区町村への)転籍」が必要のようです。本籍地を移動させた場合、除籍された者に関する記載が引き継がれることはないためです。

ただ、「【平成15年法律第111号3条による裁判確定日】」という記載は残ってしまうようですね(未実施につき、誤っているかもしれません。)

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