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自立のハードルは低くていい コラム13
不登校や引きこもりの親御さん、またご本人のカウンセリングを通しての一つのテーマが自立です。自立を辞書で引くと
「他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。『精神的に自立する』」
と出てきます。ツッコミたくなる定義ですが、おそらく、心を苦しめる原因はこのような「他者を頼らないで生きられるようにする」という意味合いで自立をとらえているからだと言えます。実際に「他からの支配や助力を受けずに存在する」ことのできる人はいません。
一人暮らしをしていても、社会がある以上誰かの世話になり、誰かの手助けをしています。むしろ、自立というのは、自分のできるできないの線引きが明確で、できる範囲はやるけれど、できないところは人に頼れることだと言えます。
先日、特別支援学校の校長先生のお話しを伺いました。私はそこでその先生に自立について尋ねました。その先生がおっしゃるには、その人にとって必要な支援が受けられるような体制を整えて社会に送り出してあげることだと教えてくださいました。
これは、障害のある人に限ったことではなく、誰もが、自分に必要な支援(助け)を知っておく必要があります。
自立を「他者に頼らないで生きる」というとらえ方にすると支援を受けるなんてもってのほかだと考えてしまい、自立のハードルが非常に高くなります。一方で「支援されていい」「人を頼ってもいい」ということが分かったうえで、一歩踏み出してみるほうが自立に近づくのではないかと思います。
ありのままの自分を大切にするときに、自分の弱さを認めざるを得ません。しかし、その弱さを認めることで、自分に必要な助けが何かを知り、無理をせず、また背伸びした努力からも解放されて、平安の中に生きることができると考えます。
「頑張れば何でもできる」という前向きな姿勢も素晴らしいですが、自分にはできないこともある、自分は万能ではないという弱さを受け入れるとき、はじめて真の自立に近づいていくことができるのではないでしょうか。
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