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10年前よりもっと怖くなっている外食の実態

『じつは怖い外食』南清貴
2014年刊行

両親を癌で亡くしたレストラン経営者だからこそ実感する危機

私は両親を癌で亡くしている。
母は25年前に膵臓癌で。父は3年前に膀胱癌で。
この事実から私は「食事」が生死を大きく左右すると結論に至り、年々気にする度合いが深まるようになった。

そして私たち夫婦は9年前から東京渋谷でイタリア料理店 カーサベッラを営んでいる。だからこそ、東京に、日本に、まともな飲食店が極めて少ないことを日々実感し、少々途方に暮れている。

約10年前に刊行された『じつは怖い外食』を拝読し、子育て世代が多い仲間たちに改めて食の実態を知ってもらいたいと思った。『じつは怖い外食』からの引用と私個人の考察を記載する。

気楽に利用しているそのお店、その商品。
企業として全く応援するに値しない存在とわかるはず。
購買行動を起こす前に少しだけ立ち止まってもらえたらと願いを込めて。

自社製品を口にしない、その会社の人たち

以下の2社の企業に勤める人たちは、自分の会社の製品を口にすることをためらう。なぜならば、それが体に大きな害をもたらすと身をもって体感し、知り尽くしているからだ。

【①マクドナルド】

シンプルに今一度考えてみたい。
かなりの長期間、放置していても腐らないハンバーガーが人間の体にどんな影響を与えるのだろうか?

子連れがマックを利用するのは今に始まったことではなく、前職ベネッセ時代に衝撃を受けたのが、家族のお出かけ先アンケートで毎年No.1に君臨しているのは「マクドナルド」だった。郊外に行けばプレイグラウンドのついた遊び場のような施設となりマクドナルドは家族の立派なお出かけ先と化す。

世界中で最もおもちゃを製造しているのもマック。
子供に魅力的なニンジンをぶらさげて、家族ごと丸飲みにして麻薬のようにクセになる味を脳と舌にすり込もうという作戦は、いまだに通用している。

2013年に中国国内で営業している店舗で、抗生物質や成長ホルモン剤を過剰に投与された薬漬けの鶏肉が使用されており、その鶏肉が日本にも輸入されていたことが分かり一部で大騒ぎとなった。でもあくまで一部で大体的には報道されない。
それはなぜか。

マックはスポンサーとして相当なCMフィーをメディアに払っているからみんな怖がって叩けない。

マックの言い分としたらこんな感じだろうと著者は記す。

『確かに使っている食材はヤバいですよ。でも安いんだからいいでしょ?
安くてしかも高品質でそのうえ安全な食材なんてあると思っているんですか?
売り上げが落ちたといったってまだまだ日本の外食産業の中ではダントツのトップだし、メディアにはたくさんお金をばら撒いているから、大きなメディアはこんなこと報じたりしないからね。』

ちなみに
「ファーストフードはカロリー、脂肪、飽和脂肪酸、糖質および塩分が高い典型で、肥満リスクになるので摂取には注意するように」と
従業員専用サイトに記載されている。従業員には自社製品を食べるのを控えるようにと啓蒙しているのだから矛盾がすごい。

あんな楽しげなCMや広告でいかにも良い人、良い企業のふりをして、毒をばら撒き散らすマクドナルドの罪は非常に重い。

【②山崎製パン】

一言で言えば、世界で禁止された食品添加物が入ったパンを売っている。
それが山崎製パンだ。

強烈な防腐剤、殺菌剤、膨張剤、光沢剤などを使っていて常温でもカビが生えない「ランチパック」などを食べると体は一体どう反応するのか?

山崎製パンはパン生地改良剤として「臭素酸カリウム」という食品添加物を使っているが、これは発がん性を指摘されて一度は全面的に使用禁止になった物質。
パン製造において漂白したり熟成期間を短縮したりできる。

世界で認められない危険な添加物にもかかわらず、パン業界の64%を占める山崎製パンを優遇してこの添加物の使用を日本は許可してしまった。

しかしながら最後の選択肢は消費者にある。
とにかく買わない、それだけで良いのだ。

危険なスターバックスの飲み物

スタバは善良なコーヒースタンド、サードブレースと見せかけて、ありえない量の砂糖と添加物をコーヒーやフラペチーノという商品に包んで売り捌く会社だ。

スタバのストロベリークリームフラペチーノにも使われているコチニール。カイガラムシという昆虫から抽出したその赤い液体は毒性があり、呼吸困難などの急性アレルギー反応が起こる可能性のある添加物で、使われていることが発覚した当時は物議を醸した。しかしもう過去のこととして忘れ去られてはいないか。

別で調べてみると砂糖の量がとんでもないことは自社サイトにアメリカでは記載されている。添加物の記載もアメリカは充実しているけれど、日本のサイトには一切なし。そのスタンスもいただけない。

【想像以上】スタバの砂糖と添加物の量がヤバい!(色んな意味でワールドクラス)より

ちなみに世界保健機関(WHO)が推奨する砂糖の摂取量は、成人で1日25g(角砂糖約7個分)まで

口にするなら、ドリップコーヒーやラテなど無糖でトッピングやソース・シロップ類の入っていないドリンクを選ぶべし。

体に負担をかける「サラダもどき」

基本的にチェーン展開している、コンビニやスーパー、ファミレスは信用できない。

ヘルシーと思って、コンビニでサラダを手に取る。
私にもそんなことをしていた学生時代はある。
でもそれは非常に愚かな行為なのだ。

劣悪な環境で育った栄養価の低い野菜を毒性の強い洗浄液で洗い、その匂いを消すために何度も水洗いするので、野菜に含まれる水溶性の栄養素はほとんど流れて出てしまっている。

その抜けてしまった味を補うために、アミノ酸などを使った調味液(ドレッシング)で強烈に味付けをして食べる。

だったら食べない方がマシ。
体内にあった抗酸化物質などの栄養素を使って無害化しなくてはならないのだから、体への負担は大きい。

コンビニやファミレスのサラダは食べるな。
ついでにカット野菜も。

かといって手軽な「野菜ジュース」も信用してはいけない。
濃縮されてピューレ状にした外国産の野菜を水で薄めて添加物、香料、ビタミンCに変色防止剤で作られた液体に野菜の代替は務まらない。

やっぱり野菜は買って自分でサラダを作るしかない。
でも、日本はさらに難易度が高い。
なぜなら、世界的にみても日本の野菜は農薬まみれだからだ。

農薬だけでなく土が乏しい日本の野菜

硝酸態窒素は、EUでは人体に影響があるので濃度規制されているが、日本は野放しになっているという事実。

作物を早く成長させるために大量の肥料を撒くと土は窒素過多となり、その窒素が土中の微生物の働きで硝酸態窒素に変わり、それを野菜が吸い上げて取り込むことになる。

それが人体に入ると唾液と混じり合ってニトロソアシンという発がん性物質になるそうだ。日本で売られている野菜には相当量の硝酸態窒素が含まれている。
見極めるポイントの1つとして葉野菜の緑が濃すぎる野菜は注意が必要らしいが、これをスーパーの陳列から見極めるのは相当難しい。

もはや東京に住む限り、信頼できる生産者や卸業者を探して、そこから直接手に入れる以外に美味しい野菜を手に入れる方法はない。
しかしそのハードルは高すぎる。


くず肉➕化学合成物質=フィレステーキ として出すステーキチェーン店

安価なステーキチェーンやファミレスでは、この方程式が当たり前という現実。

くず肉をくっつける結着剤は重合リン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩などがある。そんなものにまみれた肉が美味しいはずはない。

安価で肉を食べたいというニーズが消費者からあり続けているから起きる実態。
そんなにまでして肉を食べる必要が本当にあるのか?

コンビニ弁当を餌にした豚が死ぬ

近くにコンビニがある福岡の養豚場で、廃棄のコンビニ弁当やおにぎりを餌としてもらって与えていたところ、死産や子豚の奇形が相次いだという。

保存料や酸化防止剤、着色料、グルタミン酸ナトリウムなどの添加物、高脂質で濃い味付けのコンビニ弁当。豚が死に追いやられる事実を目の当たりにして、これが人間の体に悪影響を与えないわけがない。
その事実をあまりに軽視して、気軽に活用しすぎていないか。

10年前で・・・

日本は国全体が貧しくなっているのに、エンゲル係数も下がっている。
それは、国民全体が食べるものにお金を使わず安いものを買いあさっている証だという。そんな警鐘を著者が鳴らしたのは10年前。

果たしてTPPやコロナを経て、日本の食は改善され向上しただろうか。
私はさらに悪化の一途を辿っていると感じる。

消費者である私たちが安さばかりを求めず、買うものを疑い、情報を集め、確かな知識を持って消費行動を行うことで少しずつ変えられる未来もあるのではないかと私は思う。自戒を込めて。

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