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30歳になることができて思うこと

こんにちは。にこらにこらいです。
本日30歳になりました。いやぁ、めでたい、ありがたい、ありがたい。

19歳から20歳になるときは「こうしていつの間にか歳をとって私もおばさんになるのか…」と思っていましたが、今はまた一年生き延びられたことが本当にうれしいです。願わくは、このままお婆ちゃんになれたらいいな。

私は2年前、28歳の冬に血液のガンである悪性リンパ腫と診断されました。
幸いにも治療の効果があり、リンパ腫は消えました。

しかし病の性質上、「完治」とは言えず、今の私の状態はひとまずリンパ腫は消えたよ!という意味で「寛解」と呼ばれます。今も2か月に1回病院で検査をして、リンパ腫が再発していないかを確認します。

抗がん剤の治療が終わってからずっと再発が怖かったのですが、なんで怖いのか、どうすればよいのかがちょっと見えてきたような気がするので、お誕生日のテンションの高さでnoteに残しておこうと思います。

人生はちょうどよく終わらない

がんになって何が一番怖かったかというと、人生には限りがあることを実感したことでした。そして私に残された時間はもしかして思ったほど長くないかもしれないと思ったことです。再発=死ではないですが、私の型のリンパ腫は再発すると治療がより難しくなると言われています。

モーツァルトは死ぬ少し前にパトロンに手紙を出しているのですが、そこには「僕はまだ自分の才能を十分に楽しんでいないのに」と書いてあったそうです。彼は結局依頼されていた曲を完成させないまま世を去りました。

自分の才能を楽しむとはよく言ったものですが、やっぱり思うのは、
名作を作っている間は死なないっていうバフかかんねぇかなぁ~!!!
私だってモーツアルトの曲をもっと聞きたかった。

多くの作家が、完成していればさぞや素晴らしかっただろう、という作品を残して世を去っています。そう、人生はちょうどよく終わらないのです。

私は漫画を描いているのですが、今描いている闘病漫画もまだ完成していないし、描きたい話はたくさんあります。でも、もしかしたら人生は私の漫画を待ってくれないかもしれません。私が死ねば、私の中で描かれることを待っている物語は私と一緒に消えます。

そして、当然ですがこの世は生きている人のためにあります。
私は漫画も、ゲームも、小説も、映画も、とにかく物語を愛しているのですが、私が愛してやまない物語も私を待ってはくれません。もしかしたらあの物語は結末を知ることができないんじゃないか。どんなに私が結末を知りたくても、物語は予定された公開日や発売日の通りに世に出ていきます。

続きを楽しめるのは、いつだってその時に生きている人間だけです。

人生に限りがあるのはわかっているけど、それでも自分の表現したいことを内に抱えたままこの世を去ることと、私が居なくなっても物語は続いていくことは、大好きなものに置いて行かれるような感覚がして、本当に本当に寂しいと思いました。

今を踊る

じゃあどうすればよいのか。

先日本屋に行く用事があって、その時たまたま「嫌われる勇気」の著者の岸見一郎先生の「不幸の心理 幸福の哲学 人はなぜ苦悩するのか」という本を見つけました。嫌われる勇気を読んでから岸見先生はずっと好きで、用事と一緒に買ったのですが、その中でこんな文章があります。

例えば、ダンスは踊ることそれ自体に価値があるのであって、ダンスによってどこまで行くか、しかも効率的に行くかということは問題にならない。

善く生きることとは、今日一日、この一瞬を大切に生き切ることで、それは何かを成し遂げるかどうか、というものではなく、その一瞬の「今」が生きることとして完成している、というのです。

例に挙げられているダンスは、私にとっては漫画を描くことで、物語を読むことでしょう。漫画を描くことは、描くこと自体が楽しいです。物語はその場面場面で心を動かしてくれます。

その瞬間、確かに私は満ち足りています。

私は、ものごとの結果をあまりに強く望んでいたのかもしれません。
漫画は完成させたいし、物語も結末が知りたいです。でも、人生は不確実なものです。もし私が望む未来まで居られなくても、それは確かに残念ではあるけれど、残念だな、で終わってしまうのは悲しいことです。

結末まで行きたかったけど、でも楽しかったー!!

と言うことができれば、それでよいのかもしれません。

再発の怖さは波のようで、強い時と弱い時があります。今はこう思えても、怖くなる時がまた来るかもしれません。私自身、うまく付き合う方法を模索中です。

でも、今日は友人や家族の祝福をもらい、朝の散歩は晴れていて、サムネイルにあげている可愛いケーキをいただくことができました。私がカエル好きなのでカエルを乗せくださったんですよ!写真では見切れていますが、カエルちゃんの吸盤もアイシングで表現してくれるというこだわり…!
それから自分の気持ちを整理してnoteに書くことができました。

今日は良い一日でした。私は今日を踊り切ったと思います。今を踊ることに集中する、そんなふうにこれからも過ごしていきたいと思います。

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